悪天候で試合観戦がなくなった…? 雨天でも楽しめる方法、中止になるまでのプロセス

近年では異例の雨天中止の数…気になる「判断」
「今日の試合が開催されるのか、それとも中止になるのか」は、プロ野球ファンにとって非常に重要な関心ごとのひとつだ。特に、球場まで足を運ぶ予定のあるファンにとって、天候による中止の判断は、1日を左右する大事な情報といえる。今回は、そんなプロ野球の雨天中止にまつわるトピックをお届けする。
「今年は雨天中止の試合が多い気がする……」。そう感じているファンも少なくないのではないだろうか。今季はシーズン序盤から雨天中止となる試合が多い。実際に数字を見てみると、2025年のパ・リーグの試合は、6月19日時点ですでに10試合が雨天中止となっている。これは、2024年の年間を通した試合中止数である8試合をすでに上回るペースであり「異例なのでは?」と感じるファンもいるだろう。
そこで、1シーズンを通して、例年どれくらいの試合が「雨」によって中止になっているかを調べてみた。パ・リーグ所属球団が出場する試合に限り、直近の雨天による年間の試合中止数は2025年の6月19日時点で10試合、2024年は8試合、2023年は18試合、2022年は10試合、2021年は11試合、2020年は6試合(新型コロナウイルスの影響により全120試合)となっている。
上記から見えてくることは、まず昨年が、雨天中止の試合が少なかったという事実だ。関東含む一部エリアでは空梅雨だったことが影響していることが影響しているかと思われる。しかし、2025年の中止試合数はシーズン前半から早いペースで増加している。まだ6月中旬にもかかわらず、すでに昨年1年間の中止数を超え、今のペースで推移すると、年間の中止数が、直近5年の平均である10.6試合を大きく上回る可能性も考えられる。こうした傾向は、選手の調整スケジュールや、シーズン終盤の試合日程にも影響を及ぼすため、今後の推移も気になるところだ。
気になる「雨天中止の判断」は、いったいどのようにして決められるのだろうか。試合の開催、中止を決定するのは、その試合の主催球団だ。グラウンドのコンディション、天気予報、安全面などを総合的に考慮した上で決定される。ただし、明確な数値や基準は存在せず、あくまで状況を見ながらの総合判断となる。
試合開始後の中止判断は、審判団に委ねられる
中止が決定すると、球団の公式サイトやSNSを通して随時発表される。そのため、観戦に行く予定のファンの中には、朝からSNSをチェックして最新情報を待つ人も多いだろう。注意したいのは、中止の発表時刻が決まっていないことだ。試合開始時に雨が降っていれば中止と思われるかもしれないが、天気回復が見込まれるなどの理由で、予定通り試合が行われるケースもある。
なお、試合開始後の中止判断は、審判団に委ねられることになっている。急な豪雨となった場合などは、グラウンド状態以外にも、選手や観客の安全を最優先に判断が下される。球場に足を運ぶファンにとっては「○時までには中止かどうか知りたい」「これだけ雨が降っているなら中止にしてほしい」と思うこともあるかもしれないが、最終的には球団の判断と発表を待つより他ないのが現状だ。
雨天の試合ならではの見どころのひとつは、試合中断中の応援だ。2024年6月28日、ZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ-オリックス戦では、激しい雨により試合は一時中断となったが、その中で注目を集めたのが、試合前から球場を盛り上げていた習志野高校の吹奏楽部だった。
降り止まない激しい雨にも負けず、音楽に合わせての声援や、懸命な演奏を続け、その力強い応援に、球場全体が一体となった。残念ながら、試合は7回コールドゲームとなったが、球場に居合わせたファンは、まるで夏フェスのような熱気と高揚感に包まれたに違いない。
シーズン序盤から雨天中止試合が多い2025年。これから台風シーズンにも突入するため、中止となる試合が増えないことを祈るばかりだ。
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)