TJ手術→育成→支配下で無双 球団記録樹立の28歳右腕…好投を支える“真逆”の配球

楽天・西口直人の完全復活を裏付ける圧倒的なデータ分析
トミー・ジョン手術から完全復活を遂げ、今季育成から支配下に復帰した楽天の西口直人投手が目覚ましい活躍を見せている。開幕から26試合連続無失点という球団新記録を樹立し、キャリアハイだった2022年を上回る奪三振率をマークしている9年目、28歳右腕の投球術をデータで詳しく分析してみた。
最も注目すべき変化は、ストレートによる奪三振の急激な増加だ。2023年まではストレートで奪った三振が全体の約5割に留まっていたが、今季は72.5%と大幅に上昇している。この数字は西口投手の投球スタイルが根本的に変化していることを示しており、渾身の真っすぐで打者を圧倒するシーンが頻繁に見られるようになった。
追い込んでからの配球傾向も大きく様変わりしている。2022年と2023年は2ストライク以降にストレートの投球割合が減少し、フォークボールの使用頻度が高まる傾向にあった。しかし今季は追い込んでからの方がストレートの割合が高く、約70%を占めるという真逆の配球パターンを採用している。
西口のストレートは球速も向上している。2023年の平均148.8キロから今季は150.3キロまで上昇した。もともと空振りを奪いやすい球種だったストレートだが、今季はリーグ平均を大幅に上回る奪空振り率31.1%を叩き出している。
奪三振の増加に加えて、長打をほとんど許していない点も今季の西口の特筆すべき要素だ。7月8日の西武戦でネビンに二塁打を打たれるまで、開幕から長打を1本も許さない完璧なピッチングを披露していた。今季の被長打率はパ・リーグのリリーフ投手の中で唯一の1割台という驚異的な数字を誇っている。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)