“79日ぶり”の借金生活…西武監督の危機感 よぎる悪夢、カギを握る197cmロマン砲

日本ハム戦に出場した西武・村田怜音【写真:小池義弘】
日本ハム戦に出場した西武・村田怜音【写真:小池義弘】

広池球団本部長「得点力を上げたい」

■日本ハム 10ー1 西武(17日・ベルーナドーム)

 西武は16日、本拠地ベルーナドームで行われた日本ハム戦に1-10と大敗し、今季41勝42敗1分けとなり、4月28日以来79日ぶりに“借金生活”に突入した。就任1年目の西口文也監督は「早く(借金を)ゼロに戻さないと、しんどくなってくる。みんなで頑張っていきたい」と危機感をにじませた。

 昨季の西武は球団ワースト記録の91敗(49勝3分け)を喫し、“借金42”で最下位。特にチーム打率はパ・リーグワースト記録の.212と貧打を極めた。それに比べれば、今季は来日1年目で4番に定着したタイラー・ネビン外野手、ドラフト2位ルーキー・渡部聖弥外野手の活躍、8年目26歳の西川愛也外野手の成長、仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチの招聘などで、だいぶ期待感を持てる打線になり、チーム成績も4位をキープしている(16日現在、以下同)。

 それでも、リーグ3位のチーム防御率2.54と健闘している投手陣に比べ、チーム打率は同5位の.230で、総得点はリーグワーストの216。相変わらず打線に問題を抱えているのは確かだ。7月に入ってからはチーム打率.194と下降気味で、昨季の貧打の悪夢が思い出される展開となっている。

 もちろん手をこまねいているわけではない。メジャー通算72本塁打を誇り、シーズン途中の獲得となったJ.D.デービス内野手がこの日、入団会見を行った。広池浩司球団本部長は「得点力を上げたいというところが獲得の狙い。打率をある程度残しながら長打も打てる、中長距離打者です」と力を込めた。早ければ19日のソフトバンク戦から1軍に合流する見込みだ。

 さらにこの日、昨年の現役ドラフトでロッテから移籍した平沢大河内野手、プロ2年目で身長197センチの“右のロマン砲”村田怜音内野手を1軍に昇格させ、早速スタメンで起用した。

右中間へ痛烈な打球を放つも五十幡に好捕され「走者も2人還るだろうと…」

「2番・二塁」で出場した平沢は3回先頭での第2打席に右翼線二塁打を放ち、移籍後初安打をマーク。ヒットはこの1本だけだったが、9回の第5打席では、右翼ポール際への本塁打性のファウルもあった。イースタン・リーグで打率.300(100打数30安打)、7本塁打の結果を残し満を持しての昇格だけに、なんとしてもチャンスをものにしたいところだ。

 一方、今季初昇格の村田は「6番・指名打者」。初回2死満塁で迎えた第1打席では、日本ハム先発・北山亘基投手の初球の149キロのストレートを右翼手の頭上へ打ち返したが、万波中世外野手のジャンピングキャッチに阻まれた。3回1死一、二塁の第2打席でも、136キロのカットボールをとらえ、痛烈な打球が右中間を襲ったが、快足を誇る中堅手・五十幡亮汰外野手に追いつかれ好捕されてしまった。

「第2打席は長打コースで、走者も2人還ってくるだろうと思って走っていたのですが、(日本ハムサイドの)一塁側が沸いたので何が起こったのかと……」と村田は悔しがった。

 第3打席は北山のナックルカーブ、第4打席は2番手・山本拓実投手のシンカーを振らされ、連続三振。「第1、第2打席で内容はよかったとはいえ、ヒットを記録できなかったので、少しりきんで強引になってしまった。ファームで2週間前に打撃フォームを変え、思い切って『ホームランを打てる球だけを振ろう』と心掛けることにしていたのに、第3、第4打席では、ヒットを欲しがってボールを追いかけてしまいました」と頭をかいた。

 新しい打撃フォームは、“メジャーサイズ”の長身を少し前傾させ、左肩を上げ、グリップはへその前あたりに低く置いて構える。こじんまりしたようにも見えるが、大島裕行2軍野手コーチ、武隈祥太パフォーマンスアナリストらにアドバイスを受けながらつくり上げた「科学的にボールへパワーを伝えやすい」打ち方だという。きっかけ次第で躍進の可能性を秘めている。

 果たして、貧打を払拭しチームをもう1度優勝争いへと押し上げる救世主は現れるか──。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY