育成落ちから再起、19歳の“打てる捕手”や無敗21歳も… 球宴初選出のパ戦士

日本ハム・達孝太(左)とロッテ・寺地隆成【写真:矢口亨、小池義弘】
日本ハム・達孝太(左)とロッテ・寺地隆成【写真:矢口亨、小池義弘】

北山亘基は前半戦で自己最多90イニング消化、防御率1.40の活躍

 7月16日にプラスワン投票の結果が発表されたことによって、「マイナビオールスターゲーム2025」に選出される全ての選手が決定した。パ・リーグでは出場31人のうち18人が初出場と、フレッシュな顔ぶれが多く並ぶことも注目点の一つとなっている。今回は、NPBのオールスターに初めて選出された18人のパ・リーグ戦士が、前半戦で見せた活躍について紹介する。(記録は7月16日の試合終了時点。ただし代替選手の記録については7/21試合終了時点)

 まずは投手。甲斐野央投手は5月に8試合で無失点、奪三振率12.86と圧倒的な投球を披露するなど、セットアッパーとしてチームのブルペンを支えた。6月には月間防御率9.82と苦しんだが、7月は3試合で無失点と復調の兆しを見せている。杉山一樹投手は50試合で防御率1.61と抜群の安定感を示した昨季に続き、今季も39試合で防御率1.63、奪三振率13.27と支配的な投球を展開。シーズン途中に抑えへ転向してからも好投を続け、前半戦だけでホールド、セーブともに2桁に到達。勝ちパターンの一角として、幾度となくチームを勝利に導いている。

 達孝太投手は8試合の先発登板で2度の完投を含む6勝を挙げ、防御率1.12、奪三振率8.15、与四球率1.44、K/BB5.67と非常に優秀な投球内容を示している。過去3年間の1軍登板は計2試合にとどまっていたが、高卒4年目の今季に一躍大ブレイクを果たしつつある。北山亘基投手はすでに自己最多を上回る90イニングを消化し、防御率1.40と前半戦を通じて最優秀防御率のタイトルを争う活躍を披露。奪三振率8.50、与四球率2.40、K/BB3.54と各種の指標も優秀で、先発陣の屋台骨を担う存在の一人へと成長を遂げている。

 中森俊介投手は5月に8試合で月間防御率1.23、6月も同じく8試合で無失点と好投を続けてセットアッパーに昇格し、交流戦期間中にはクローザーを任された。守護神の座を託されて以降は無失点投球を継続中で、防御率1.23、奪三振率11.05と打者を圧倒する投球を展開している。西口直人投手はトミー・ジョン手術による長期離脱と育成契約への移行を経て、今年2月に支配下へ復帰。復活を期した今季は開幕から26試合連続無失点を記録し、奪三振率は13.66という驚異的な水準に到達。61試合に登板して30ホールドを記録した2022年を上回る、キャリアハイのシーズンを送る可能性も十分だ。

 隅田知一郎投手は14試合の先発登板で7勝を挙げ、防御率1.75、奪三振率8.24、与四球率1.67、K/BB4.95とハイレベルな成績を記録。自身初の2桁勝利を射程圏内に捉えていることはもちろん、総合力に優れたリーグを代表する先発左腕へと飛躍する気配も漂わせている。

渡部聖弥はルーキーイヤーから持ち前の打撃力でインパクトを残す

 続いて野手。寺地隆成捕手は開幕から1軍に帯同して65試合で打率.266、5本塁打を記録し、チームの主戦捕手の座を確保。交流戦以降に2番打者に定着して以降も一定の打撃成績を残し続けており、19歳の若さにして「打てる捕手」として扇の要を担う存在となりつつある。宗山塁内野手は開幕直後から主力として出場を重ね、4月終了時点で打率.271と序盤戦では前評判に違わぬ打撃を披露。5月以降はやや調子を落としつつあるが、プロ1年目から守備の負担が大きい遊撃手を務め、レギュラーとして攻守で奮闘を続けている。

 村林一輝内野手はともにパ・リーグトップとなる、打率.324、95安打とヒットを量産。昨季までは守備に長けた遊撃手として活躍してきたが、今季は打者としても長足の進歩を遂げ、自身初の打撃タイトル獲得も視野に入るほどの驚異的な活躍を披露している。滝澤夏央内野手はかねてから定評のあった広い守備範囲を活かした内野守備に加えて、今季は打率.263、11盗塁と打撃面でも成長を示している。源田壮亮内野手の故障離脱による穴を埋める見事な活躍によって、チームにとっても欠かせないピースへと成長を遂げている。

 渡部聖弥外野手は5月4日の時点で打率.400と序盤戦で圧倒的な打棒を披露し、5月23日の段階で打率.331とその後も好成績を維持。2度目の故障離脱から復帰した6月以降は状態を落としているが、ルーキーイヤーから持ち前の打棒を活かして大きなインパクトを残している。柳町達外野手は開幕1軍入りこそ逃したものの、昇格した4月からは3か月連続で月間打率.291以上と優れた数字を記録。交流戦では打率.397という高打率を残して6年ぶり9度目となる交流戦優勝の立役者となり、交流戦首位打者&MVPの2冠に輝いた。

 山本大斗外野手は交流戦から4番に定着し、交流戦期間中に18試合で5本塁打とアーチを量産。打率.219と確実性には課題を残すものの、前半戦だけで10本塁打と随所で長打力を発揮し、22歳の若き4番打者として和製大砲としてのポテンシャルの一端を示している。西川愛也外野手は開幕からセンターのレギュラーをつかみ、リーグ2位タイの88安打、同3位の18盗塁と持ち前の打撃センスと機動力を活かしてトップバッターとして活躍。このまま攻守にわたって活躍を続け、押しも押されもせぬチームの中心選手となれるか。

 フランミル・レイエス外野手はそれぞれリーグトップの18本塁打、52打点を記録し、2冠王に向けて順調に成績を積み上げている。投高打低の傾向をものともせずに長打を量産する助っ人の存在は、首位を走るチームにとっても大きなアドバンテージの一つとなっている。

 今回取り上げた18人の選手たちがオールスターに選出されたのは、各選手が前半戦において印象に残る活躍を見せたからこそだ。初の球宴で各選手が披露してくれるであろう溌剌としたプレーの数々は、ファンならずとも要注目のポイントとなることだろう。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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