西武新助っ人、好調のカギは選球眼 魚雷バット導入で起きた変化……進化示す「24.1」

西武のタイラー・ネビン【写真:小林靖】
西武のタイラー・ネビン【写真:小林靖】

ネビンは攻守で高評価…6月には来季からの2年契約を新たに結んだ

 前年リーグ最下位からの巻き返しを図る西武。打線でひときわ存在感を放っているのが、新加入のタイラー・ネビン外野手だ。オープン戦で打率.351と結果を残し、3番・一塁で開幕スタメン入り。最初の1か月はやや苦戦したものの、5月には大樹生命月間MVP賞に輝くと、その後も4番としてチームをけん引している。今回は、ネビン選手が日本球界に適応していく過程をデータでひもといてみよう。

 5月以降の変化として、まずは全打席に占める四球割合に注目したい。3・4月は5.5%にとどまっていたが、5月以降は8.5%と、リーグ平均(7.2%)を上回る水準まで上昇している。改善の背景として考えられるのが、ボール球を見極める選球眼だ。ボールゾーンスイング率は3・4月に31.1%だったのが、5月以降は24.1%と7ポイントほど減少。ストライクカウント別のデータでは、特に追い込まれる前のスイング率が大きく減少し、ボール球を見極めて打者有利のカウントに持ち込みやすくなっている。

 ボール球に手を出さなくなるとともに、スイングをかけた際のミート力も向上している。球種タイプ別のコンタクト率を見てみると、3・4月の時点でもリーグ平均程度の数値をマークしていたが、5月以降はさらに直球系で約5ポイント、変化球で10ポイント弱の向上が見られた。ボール先行のカウントでは相手投手はストライクゾーンに投げざるを得なくなり、打者にとってはより捉えやすくなる。

 ここからはコンタクトした後のデータを掘り下げていく。そこで注目したいのが、今季話題になった魚雷バット(トルピードバット)だ。従来のものより芯の部分が太く、先端が細い形状をしているこの新しいバットは、4月に公式戦での使用が解禁されており、ネビンは5月23日のロッテ戦から継続して使っている。導入前後で安打の方向を比べてみると、従来のバットでは左方向に引っ張る打球が多かったのに対し、新バットではセンター方向への当たりが増えていることがわかる。また、導入前は1本のみだった右方向への長打が、導入後は6本生まれているのも特徴的だ。

 続いて打球の性質を見てみよう。新バット導入後はフライやライナーの割合が減少し、ゴロとフライの割合が同程度となっている。一般にゴロはフライよりもヒットになりにくく、ゴロが増えることは打者にとってマイナスと解釈されることが多い。ただ、ネビンはゴロ打球の打率が.150から.237と上昇しており、野手の間を抜くような速い打球が増えていると考えられる。新バットの評価は選手によってさまざまだが、ネビンには心強い味方となっているようだ。

 打撃だけでなく守備でも献身的なプレーを見せ、西口文也監督から「みんなの手本となる選手」と高い評価を受けているネビン。6月には来季からの2年契約を新たに結ぶなど、早くもチームの顔となりつつある。3年ぶりのポストシーズン進出に向けて、後半戦も背番号26の活躍に注目していきたい。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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