DeNA橋本達弥が苦しんでいた“ギャップ” 右肩手術→育成→支配下復帰に「覚悟持って」

昨年6月に右肩の神経剥離術、大卒3年目の今季は育成契約となっていた
再び手にした2桁背番号も、表情は引き締まっていた。DeNAは26日、橋本達弥投手の支配下復帰を発表。3年目右腕は「素直に嬉しい気持ちと、とは言っても僕は支配下のドラフトで大卒即戦力で入っているのに3年間まだ何もしていない。ちゃんと仕事をしないといけないという思いが入り混じって、覚悟を持ってやらないといけないという気持ちですね」と率直な思いを明かした。
慶大から2022年ドラフト5位で入団。1年目は2軍で32試合に登板して防御率3.00も9月に離脱した。翌2024年は4月と5月に2軍で計5試合に投げるも防御率5.79に沈み、6月に右肩の神経剥離術を受けた。「手術してからの方が気持ちは切り替えられたんです」と振り返るが、そこに至るまでには苦悩が多かった。
「2年目にもう一回なんとかトレーニングをして投げたんですけど、自分の投球ができなくて……。ただやっぱり入ってから自分の投球が全然できていなかったので、そういう評価のされ方をしてしまう。状態が悪いのが自分の実力ってなっていた。その周りからの評価と自分の気持ちのギャップを毎日投げるたびに感じるので、投げるたびにナイーブになって、こんなはずじゃないのにみたいなのはずっと2年目は思っちゃっていました。4月、5月はきつかったですね」
原因だった右肩の痛みをクリアにしたことにより、リハビリも前向きに取り組めた。慶大入学直前には、国指定の難病「IgA腎症」に見舞われ野球を断念する可能性がありながらプロ入りまで上り詰めた過去もある。「僕自身、節目節目でそういう経験をしてしまうことが多いので、また自分のやれることをコツコツやるというところに磨きがかかったというか、それしかないなっていう気持ちは強くなったかなと思います」。今回もまた、地道に這い上がってきた。
育成契約となった今季は2軍で23試合に登板して防御率5.28ながら、21回2/3で26三振と高い奪三振能力を誇る。「ずっと痛みと戦っていて打者と戦えていなかった。今はスッキリして打者と対戦できて楽しいなというのをまた感じられています」と充実感を漂わせた。
無事に支配下復帰の吉報を掴んだが、勝負はここからだ。「早く1軍で投げるためにやらないといけない。少しずつアピールして早く投げたいなと思います」。背番号「035」から取り返した「35」で、念願の横浜スタジアムのマウンドを目指す。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)