身長170センチでも「飛距離には自信」 育成新人の寺本聖一、夕食後も2時間半の猛練習

オリックス・寺本聖一【写真:北野正樹】
オリックス・寺本聖一【写真:北野正樹】

合同自主トレで疲労骨折も…6月に実戦復帰

 オリックスの育成新人・寺本聖一外野手が、けがでの出遅れを取り戻そうと急ピッチで調整を進めている。

「一歩一歩、ハードルをクリアしているなっていう感覚はあります」。寺本が大きな目を見開いた。

 寺本は広島県出身。広島商、広島経大から2024年育成ドラフト4位で入団。170センチの体を大きく使ったフルスイングが特徴の左打者。豪快なスイングと全体練習後に2、3時間自主トレーニングする猛練習でも注目を集めていたが、合同自主トレ期間中の1月20日に「左第九肋骨の疲労骨折」と診断された。別メニューの練習を続けてきたが、5月末の社会人との交流戦に代走で出場。6月20日の交流戦、ショウワコーポレーション戦で「中堅・5番」で出場し、本格実戦復帰を果たした。

 以後、復帰2、3戦目の交流戦で計9打数3安打、5打点の活躍で頭角を現すと、6月27日のサムティ戦で2点本塁打を放った。7月1日からウエスタン・リーグの試合に抜擢されると、前半戦までの5試合で8打数3安打、打率.429と猛アピール中だ。

 けがに結び付いた可能性のある猛練習は、形を変えて今も継続中。自主練習では、片手でティー打撃を繰り返した後、両手に持ち替え、次にスローマシンで打ち込む。数をこなすのではなく、ティー打撃では腕の連動などをチェックしながら時間をかけてボールを弾く。その間、携帯電話で撮影した画像をチェックしながら、納得のいくまで次のメニューに進まない。大阪府高槻市で試合があった日には午後7時半ごろに寮に帰り、夕食後、8時ごろから約2時間半、室内練習場に籠った。

「ピッチャーと対戦すると、タイミングがちょっと変わってしまうんです。試合で100%のスイングはできないので70点でオーケーなんですが、70点を次の試合で100点にできるように修正しているんです」と寺本。フォームをチェックするのではなく、「胸郭など体の内部の動きを確認している」という。

 常にベストな状態で試合に臨みたいという思いが、体を突き動かすという。「大学の時は試合数が少ないので1週間かけて調整すればよかったんですが、プロでは連戦もありますし打席数も多くなります。1試合、1試合がアピールの場なんで、そこでしっかりと結果を出せるようにと思ってやっています」

「飛距離には自信があるので、そこでは誰にも負けたくありません。コンディショニングと自分の動作ができていれば、勝負ができると思います。次の目標は公式戦でのホームランです」。スタートでの遅れを取り戻し、輝きを増しつつある。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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