「崖っぷちの4年目」横山楓を救ったフォーム変更 ブルペンで閃き…右腕が掴んだ手応え

7月30日に4年目の横山楓が支配下復帰
崖っぷちを、何気ないフォーム修正が救ってくれた。オリックスの横山楓投手が、支配下再登録を果たした裏に試合前のブルペンでの閃きがあった。
「ショートアームなんですが、以前のように腕を前に突き出すのではなく、リリースポイントを上げたら腕を大きく使えるような感覚があって、(ボールを)叩けるようになったんです」。横山楓が笑顔で成長の秘訣を明かした。
横山楓は宮崎県出身。宮崎学園高、国学院大を経てセガサミーから2021年ドラフト6位で入団した。肘をたたんだ変則的なショートアームが特徴の右腕。プロ初登板となった2023年9月30日の楽天戦(京セラドーム)では最速153キロをマークした。
しかし、1軍登板は2023年の4試合だけで、2024年は2軍で47試合に登板し1勝5敗14セーブ、防御率3.65。ウエスタン・リーグの最多セーブのタイトルを獲得したが、10月8日に戦力外通告を受け、育成選手として再契約した。
転機は4月4日に訪れた。由宇で行われたウエスタン・リーグの広島戦。ブルペンでの投球練習で、リリースポイントを上げてみると良い感覚が得られたそうで、試合で試したところ、好結果につながった。0‐1の8回1死一、三塁から登板し、上本崇司内野手をカットボールで空振り三振、代打の松本竜平外野手をフォークで三ゴロに仕留めてピンチを断った。
上から投げ下ろすことでフォークも鋭く落ちるようになった。「今までフォークだけではなかなか三振を取れなかったのですが、フォームを変更してからは続けて三振を取れるようになりました」と笑顔で胸を張る。
1年で復帰した支配下にも「うれしい気持ちはありますが、再登録ですし、崖っぷちの4年目ということには変わりはありません。過去3年間はほとんど投げていないので、1軍への思いは強いです。そこで活躍できなければあとはないので、強い思いで頑張りたい」。12月で28歳を迎える右腕は浮かれることなく、1軍昇格に向けて今日もネットピッチを黙々とこなす。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)