福永奨と横山楓、ともに描く“上での再会” 4年目で立場が変わった同期入団

オリックス・福永奨【写真:小林靖】
オリックス・福永奨【写真:小林靖】

第2の捕手の座をつかんだ福永奨

 4年越しの夢が叶うところまできた。オリックスの福永奨捕手が、国学院大時代の先輩で、同期入団の横山楓投手の支配下再登録を受け、1軍で組むバッテリーを心待ちしている。

「僕もまだまだ、頑張らなきゃいけない立場ですが、早く楓さんのボールを上で受けてみたいですね」。吉報を受けて福永の頬が緩んだ。

 2021年ドラフトの同期生。横浜高、国学院大から3位で入団した福永に対し、横山は宮崎学園高、国学院大を経てセガサミーから6位で入団した。大学では福永は横山の2年後輩にあたる。

「大学時代から、楓さんは優しい先輩でした」と横山を慕う福永のプロでの目標の一つが、1軍でバッテリーを組むことだった。

 しかし、横山が1軍で登板したのは2023年の4試合だけで、その年に福永は3試合に出場したが、バッテリーは組めなかった。その年のオフ、2人は豪州ウインターリーグに他の選手らとともに参加。横山は中継ぎとして10試合に登板し、11回で被安打4、13奪三振、4四球、失点1の好成績を残した。

 ストレートを狙ってくる外国人選手に対し、バッテリーとして高めのストレートで勝負できた自信を胸に臨んだ2024年。福永は初めて開幕を1軍で迎えたが、開幕カードを終えた翌日に出場選手登録を抹消され、開幕からの1軍生活は3日で終わってしまった。

 一方、横山は47試合に登板し、1勝5敗14セーブ、防御率3.65でウエスタン・リーグの最多セーブのタイトルを獲得したが、シーズン終盤の10月1日に1軍選手登録されたものの出番がないままに終わり、戦力外通告を受けてしまった。

 育成選手として再出発する道を選んだ2025年シーズンで課題としたのは、決め球となるフォーク。「決め球がうまくいかないと球数がかさんで、連投も利かなくなります。やっぱり(首脳陣には)使いづらいですし」。フォーム変更によって鋭く落ちるようになったフォークが、起死回生の武器となってくれた。

 福永は今、森友哉捕手の戦列離脱もあり若月健矢捕手に次ぐ“第2の捕手”として、宮城大弥投手や曽谷龍平投手らのボールを受け成長を続けている。

「映像でフォームを見たら変わっていましたが、元々、持っていたいいストレートの出力が上がったように思いました。(バッテリーを組んだら)考えるのは僕だけでいいですから、楓さんには思い切って投げてほしいですね。早く一緒に頑張りたいですね」。すべてを引き出すリードでマウンドの先輩を輝かせてみせる。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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