西武助っ人が絶賛「彼こそベストピッチャー」 迷わず即答…ドクターKから受けた衝撃

打率、本塁打、打点ともチームトップもモイネロには苦戦
来日1年目にして西武の4番に定着し、適応力の高さを実証しているのがタイラー・ネビン外野手だ。今季打率.295、11本塁打46打点(7日現在)はいずれもチームトップ。“日本向き”の打撃を披露する助っ人の目に、強烈な印象を与えたNPB選手は誰か──。
「投手で言えば、(ソフトバンクのリバン・)モイネロ(投手)と、わがライオンズの今井(達也投手)さんだね」。ネビンはこう即答した。
「僕はモイネロとホークスの契約がどうなっているのかは知らないけれど、彼ならメジャーリーグでも十分通用すると思う」とうなずく。来日9年目のモイネロは、リリーバーから先発に転向した昨季、いきなり防御率1.88でタイトルを獲得。今季も防御率1.28でリーグトップに立ち、同2位の9勝を挙げている(7日現在、以下同)。今季ネビンとの対戦成績は11打数1安打(打率.091)。150キロ前後のストレートに切れ味鋭いスライダー、カーブ、チェンジアップをまじえる投球に翻弄されている。
ただし、キューバ出身のモイネロは昨年3月、ソフトバンクと今季から2028年までの4年契約を締結。既に国内FA権の資格条件を満たしている。
一方、同僚の今井については「奪三振に関係する数字がすごくいいよね」と評価する。実際、今井は昨季187三振を奪い、自身初タイトルとなる最多奪三振に輝いた。今季も両リーグを通じてトップの134三振、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数=奪三振×9÷投球回数)10.25をマークしている。日本を代表する“ドクターK”である。ネビンは「今井さんとは春季キャンプ中にライブBPで対戦したけれど、彼こそ“ベストピッチャー”だと思ったよ」と打ち明ける。
「三振も多いけれど毎年25発以上打ってくれるなら誰も文句は言わない」
「打者で凄いと思ったのは、(阪神の)佐藤輝明(内野手)」と迷いなく言い切る。「彼とはセ・パ交流戦で3試合だけ対戦したけれど、ホームランを打てて四球を選べる。三振も多いけれど、毎年25本以上のホームランを打ってくれるなら、誰も気にしないと思う」と語った。
今季の佐藤輝の29本塁打、73打点はセ・リーグ断トツで、自身初の打撃タイトル獲得へ向けてばく進中。一方で118三振も両リーグを通じて断トツだ。
ネビンは6月10日から同12日まで、ベルーナドームで行われた阪神3連戦で、両チームの4番同士として対決。ネビンは10打数2安打2打点1四球、佐藤輝は9打数3安打1打点3四球だった。特に2戦目の9回、佐藤輝が西武のセットアッパーであるトレイ・ウィンゲンター投手が外角高めに投じたボール気味の153キロの速球を、豪快に右翼席へ放り込んだ18号ソロに、衝撃を受けたようだ。
ネビンの場合は、在籍4年間で通算12本塁打49打点、打率.204に終わったメジャーリーグ以上に、日本の野球にフィットしているように見える。そんな優良助っ人が選んだ“世界基準”の男たちも実に興味深い。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)