オリ齋藤響介から消えた“弱気” 「怖いですね」から確かな変化「結果として良かった」

オリックス・齋藤響介【写真:小林靖】
オリックス・齋藤響介【写真:小林靖】

齋藤響介が内角攻めに手応え「良くなるきっかけ」

 オリックスの3年目右腕・齋藤響介投手が、苦手にしていたインコースを突く投球で活路を開こうとしている。

「ちょっと良くなるきっかけにはなりました。出されたサイン通りに投げ切るだけなので、まあ、投げ切れたと思います」。前半戦最後の登板を齋藤が穏やかな表情で振り返った。

 齋藤は、盛岡中央高(岩手)から2022年ドラフト3位で入団。2023年9月26日の西武戦(京セラドーム)で先発としてプロ初登板し、4回2安打無失点と上々のデビューを飾った。

 ドジャースに移籍した山本由伸投手が、テレビの企画で「ネクストブレーク選手」として挙げた逸材。2年目に1軍で8試合に登板し2勝(3敗)をあげたが、飛躍を期待された3年目は開幕1軍を逃し2軍での調整が続いている。

 恥ずかし気にはにかむ表情から「響ちゃん」と呼ばれる。一方、マウンドでは無表情で150キロのストレートを投げ込む“ギャップ”が魅力。そんな右腕がやや伸び悩んでいる。

 6月に入り、球速を戻すため下半身を使うフォームに修正したが「球速は少しずつよくなっているのですが、制球がつかなくて」と齋藤。フォーム修正後、6試合のうち3試合で4四球を与えたことを課題と捉えている。

「(捕手が)インコースに構えたのですが、甘くいって打たれたらと思ってしまって」と振り返ったのは、7月9日の中日戦(杉本商事Bs舞洲)。2回先頭の中田翔内野手に対し、外角へのカーブでストライクを取った後、2球目の真ん中外寄りの144キロの直球を左前に運ばれた。この後、2四球で満塁のピンチを招くと押し出し四球で先制点を許した。

 2軍の指導者からは「四球が多く、気持ちで逃げていると言われています」と明かした齋藤。思い当たる節もあった。右打者の内角を思い切って突けないことだ。「左打者には内角を突けるのですが、右打者には抜け球が結構、多くて」。慎重になりすぎるあまり、腕が振れていなかった。

 次の登板となったソフトバンク戦(タマスタ筑後)では反省を活かした。強気に攻め、5回を被安打2、6奪三振、1失点で試合を作った。対戦した右打者は2人だけだったが、4回1死二塁では桑原秀侍内野手を内角への143キロで遊ゴロに抑え、5回2死二塁で迎えた井上朋也内野手も同じボールで中飛に。井上には、スライダーやフォークをカットされ粘られたが、気持ちで逃げることなく攻め続け10球目で仕留めた。

「変化球でカウントを稼げましたし、久々に三振も多く取れました。結果として良かったと思います」と齋藤。1週間前に「甘くいって打たれたらと思うと投げ切れないんです。インコース、怖いですね」と吐露していた弱気な姿はもう見えなかった。

◯北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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