オリ東松快征が漂わせる覚醒気配 緊急登板でこじ開けた“扉”…指導者が惚れたスタイル

オリックス・東松快征【写真:北野正樹】
オリックス・東松快征【写真:北野正樹】

オリ東松について厚澤コーチ「活きのよさを感じました」

 オリックスの2年目、左腕・東松快征投手の評価が高い。中継ぎ左腕が皆無のチーム事情から中継ぎ起用されているが、将来の主軸投手としての期待が高まっている。

「荒削りで課題もありますけれど、光り輝いている選手。楽しみしかありません」。厚澤コーチが期待を込めた。

 東松は愛知・享栄高からドラフト3位でオリックスに入団。1年目は1軍昇格はなくウエスタン・リーグで7試合に登板し0勝3敗、防御率15.43。2年目の今季は、春季キャンプで主力組のA組に抜擢され、開幕1軍にも登録された。野手を補充するため登板機会がないまま登録を抹消されたが、2軍で先発、中継ぎで13試合に登板し2勝2敗、防御率2.06と安定した成績を残した。7月19日に1軍登録され、その日に3番手で初登板を果たした。

 評価を高めたのは、同27日のソフトバンク戦(みずほPayPayドーム)。先発を予定されていた投手のコンディション不良により、前日の練習前に急遽、告げられたマウンドで、3回⅓を投げ、63球で被安打5、2奪三振2四球で3失点(自責点2)で、緊急登板の試合を作った。

「うちは若い投手が多いのですが、久しぶりに活きのよさを感じました。こういう若さって、すごく大事なんだなって、僕らも思わされたんです。ここがすごいと思ったところですね」。151キロのストレートと右打者の膝元に食い込むスライダー、鋭く落ちるフォークで攻める20歳の若者らしい投球は、厚澤コーチの胸に響いたという。

 8月6日の楽天戦(楽天生命パーク)では、1‐2の8回2死から左打者対策で登板し、黒川史陽内野手に四球を与えたものの、武藤敦貴外野手を二ゴロに仕留めて役目を果たした。

 今後の起用について、厚澤コーチは「左の中継ぎがスタンバイしていないチーム事情がありますので、今はリリーフをしてもらっていますが、リリーフで育てようとは思っていません」と断言する。ブルペンを長年支えてきた山田修義投手や富山凌雅投手ら、実績ある中継ぎ左腕が2軍で調整中という事情を考慮しての暫定的な措置というわけだ。

「(4回途中で降板した)初先発は、もっと勝負させてやりたかったですよ。でも、いきなり先発していける球数は60球か70球と、ボーダーラインを引きました。未来のある選手なので、無責任なことはしたくありませんから。先発として育てたいので、少々お待ちくださいという感じです」と厚澤コーチ。次回の先発は、満を持しての登板となる。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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