8失点を招いた19歳の弱気「偏っていた」 専門家が問題視した“2つの失敗”「気持ちはわかる」

野口寿浩氏、ロッテ・寺地のリードを問題視
■日本ハム 9ー4 ロッテ(14日・エスコンフィールド)
若き扇の要に、あえて厳しい注文だ。ロッテは14日、エスコンフィールドで行われた日本ハム戦に4-9で完敗。6連敗を喫し、借金は今季最多の24に膨らんだ。初回に3失点するなど序盤からの苦しい展開に、現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、「5番・捕手」で出場した寺地隆成捕手のリードに苦言を呈した。
「ロッテのバッテリーは偏っていました。パターン化した配球が少し見られました」。野口氏が問題視した点は2つある。1つは「速い球で追い込むのですが、追い込んだらその後は全部変化球でした」。例えば3回1死。水谷瞬外野手を2球で追い込んだ後、フォークやスライダーを低めに集めながらフルカウントまで粘られ、8球目でようやく見逃し三振に仕留めた。
続く野村佑希内野手もフルカウントからファウルで粘られ8球目で四球。ここから2点を失った。「振ってもおかしくないような球に、打者はピタッと止まっていました。追い込んでから直球が来ない。変化球を待っているから、際どい球も見逃せている。これはバッテリーの改善が必要な点です」と指摘した。
続けて「序盤、内角への球がほぼなかった。直球も変化球も外角ばかり。逆球で内角にいった球はあったけど、内角への要求がなかった」と指摘。初回1死三塁、野村を1-2と追い込みながら真ん中低めのフォークを捉えられて左前打。配球面で2つの悪いパターンが重なって先制点を許した。
さらに4番のフランミル・レイエス外野手には外角高めの直球を右越えに被弾。「負けたくない、打たれたくないという気持ちは分かります。捕手なら誰もが通る道です。でも、思い切っていかないと。もう少し内角を使っていたら違っていたでしょう」。内角がないから踏み込まれる。外角の球を簡単にはじき返されてしまったのである。
「打てる捕手だし、大きく育ってほしい」
点差が開いた中盤から内角も要求するようになったが「それじゃあ遅いんです。火がついてしまっているから打たれます」と5回に田宮裕涼捕手に内角直球を右越え2ランされた場面を解説。「最初の方で内角にいっていないから、そうなるんです」と続けた。
日本ハムの福島蓮投手、田宮のバッテリーが序盤から内角に直球をどんどん投げ込んでロッテ打線を封じたのとは対照的。「寺地が日本ハムのバッテリーを見て、どう感じたか。大きな違いが出ました」と指摘した。5回までに8失点したこの試合は打席でも元気がなく3打数無安打。6回に見逃し三振に倒れると、その裏の守備からベンチに退いた。
明徳義塾高から2023年ドラフト5位で入団。昨年は2軍でイースタン・リーグ2位の打率.290をマークし、10月には1軍昇格してプロ初打席で二塁打を放つなど非凡さを示した。今季は正捕手に定着し球宴にも初出場。打てる捕手としてブレーク中だが、まだまだ課題も多い。
野口氏の厳しい言葉は期待の裏返しでもある。「いい経験をさせてもらっていると思う。打てる捕手だし、大きく育ってほしい。成長してくれたら、ロッテはしばらく安泰ですよ」。チームが最下位にあえぐ中で貴重な経験を重ねる高卒2年目の19歳。苦い“失敗”を糧に、今後の成長とチーム力の底上げにつなげていきたいところだ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)