「怖いもの知らずでいい」 牧野コーチが見た育成3位・上原堆我の成長「勝負できる」

オリックス・上原堆我【写真:北野正樹】
オリックス・上原堆我【写真:北野正樹】

育成3位の上原が実戦で掴んだ手応え「順調です」

 オリックスの育成ドラフト3位・上原堆我(たいが)投手が弱点を克服しながら成長を続けている。「高校時代よりボールは強くなり、変化球もよくなりました」と上原は嬉しそうに頬を緩めた。

 上原は花咲徳栄高(埼玉)出身で、最速148キロのストレートと切れ味の鋭いスライダーが武器の本格派右腕。3年夏に巨人から1位指名された石塚裕惺内野手とともに、チームを5年ぶりの甲子園に導いた。

 1年目は体づくりに主眼が置かれているため実戦機会は多くないが、6月まで独立リーグや社会人との交流戦に8試合、中継ぎとして登板。徐々に球数も増えていき、6月25日の富山GRNサンダーバーズ戦では3番手で3回1/3で64球を投げて、被安打4、4奪三振、無失点の好投を見せた。

 ウエートトレーニングなどで、体が大きく強くなった。体重は82キロから3キロ増、筋肉量も約2キロ増え、球威も増したという。弱点だった走者を置いてからの投球も改善できた。

「これまでクイックで投げることが少なくて課題だったのですが、キャッチボールで練習したりブルペンでの数を増やしたりしたことで、タイミングが合うようになってきました。今はそんなに不安ではありません」と語る。

 投球フォームも修正した。「なるべく無駄な動きをなくすようにコンパクトにしたのと、体が開きやすいので我慢をして体を前に移動して、力を分散させないようにしています」と狙いを明かす。

 成果を試す機会は7月末に訪れた。ミキハウス戦(大阪シティ信金)で先発し、3回まで被安打2、1失点。4回に2点を奪われ途中降板となったが、最速144キロながら力で押す投球を披露。フォークで2つの三振を奪った。

「ツーシームがよく、序盤は自分のペースで打者と対戦できていたのですが、4回は球威も落ちてコントロールもバラバラになってしまいました。どれだけ投げても、変わらずに投げられるようにならないといけないと思いました」と振り返った上原。

 牧野塁2軍投手コーチは「いろんなボールを投げますし、ハートも強くしっかりと打者と勝負できるところもあります。プロの世界ですからいろいろ失敗をして、へこむこともあるでしょうが、思い切って投げて怖いもの知らずでいいと思います。今からちっちゃくなる必要はないですからね」と温かく見守る。

「順調といえば、順調です。自分ができることを少しずつやっていければと思っています」。足元をしっかりと見詰め、まずは自分を磨くことに注力する。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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