故意落球の判断基準は? 元NPB審判が解説、犠打フライで起きる「0.1秒の駆け引き」

元NPB審判員の坂井遼太郎氏が故意落球を解説
パーソル パ・リーグTV公式YouTubeでは、野球界の常識をアップデートする番組「P’s UPDATE」を公開中。第11回のテーマは「インフィールドフライ」。ゲストに元NPB審判員の坂井遼太郎氏を迎え、西岡剛氏、館山昌平氏とともにルールを深堀りした。
インフィールドフライは故意の落球によるダブルプレーから攻撃側を守るためのルール。では、どんな故意落球の例があるのか、パ・リーグ映像を坂井氏らの解説とともに紹介した。その中で「0.1秒の駆け引き」としてバントの小フライに関するプレーが紹介された。
2024年9月10日、日本ハム-西武戦でのプレー。無死一塁でバントが小フライになったが、捕球体勢に入った伊藤大海投手がグラブを引き、わざと落としてダブルプレーにしたというシーンだ。「落とせ!」という声もあり、故意に落としてはいるものの、これは故意落球にはならないという。
坂井さんは「あくまで故意落球とは、自分の身体を使って打球を落とすこと。これは特に触れていないので故意落球にはならない」と解説。2019年7月20日の日本ハム-ロッテ戦でもロッテ・田村龍弘捕手があえて落としてダブルプレーを取っているが、これもグラブには触れていない。
また、ダブルプレーの取り方にもポイントがある。2024年のプレーでは打者走者からアウトにしているが、もっと簡単にするなら一塁走者をアウトにするべきだと坂井さんは言う。先に打者走者をアウトにすると一塁走者の占有権が残り、走者が一塁に戻って触れているとアウトにできなくなってしまう可能性があるためだ。
実際、2019年のプレーでは中村奨吾内野手が戻った一塁走者を先にアウトにし、その後ベースを踏んで打者走者をアウトにした。逆の順番だった場合、一塁走者はセーフとなり、プレーが生きなくなる。選手のルールに対する理解も大切だということがわかるプレーだった。
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)