鷹戦力外→セ移籍で得た“充実” 試合中にまさかの悪夢も…「バレなかった」|球界群像 加藤伸一#18
ダイエー、広島などでプレーした加藤伸一氏【写真:山口真司】加藤伸一氏は広島移籍1年目にカムバック賞「新鮮な1年でした」
ダイエーを戦力外となり広島入りした加藤伸一氏(KMGホールディングス硬式野球部監督)は移籍1年目の1996年、カムバック賞に輝いた。開幕から先発として活躍し25登板、9勝7敗、防御率3.78の成績を残した。当時の広島指揮官・三村敏之監督も大絶賛した切れ味鋭いシュートがうなった。一時は11.5ゲーム差をつけていた巨人に逆転優勝の「メークドラマ」を許したのは無念だったが、ダイエー時代とはひと味違う「新鮮な1年でした」と振り返った。
テスト入団からの見事な復活劇だった。ダイエーラストイヤーの1995年は早々に見切りをつけられ、1軍登板なしに終わった加藤氏だが、広島移籍1年目の1996年は、開幕から1シーズンを通して先発ローテーション投手として活躍した。2試合目の4月17日の横浜戦(広島)で7回無失点投球。ダイエー時代の1994年7月14日、オリックス戦(福岡ドーム)以来、643日ぶりに勝利投手となり、以降、コンスタントに白星を積み重ねた。
光ったのはシュートだ。三村監督も事あるごとにマスコミに対して「加藤の、あのシュートはいいよね」と褒めちぎっていた。「相当投げましたからね。もうこれでもか、っていうくらい。(捕手の)西山(秀二)に『お前、シュート好きやな』って言いましたよ。あれだけ投げるようになったのはカープにいってから。シュート、シュート、スライダー、シュート、シュート、スライダー、カーブ、真っ直ぐ外……。西山もようリードしてくれました」。
シュートを武器に打者に向かっていくスタイルが確立された。「僕も投げていて思うけど、あの時の自分みたいなピッチャーが今、欲しいし、現れないかと思いますもんね。球が速いどうのこうのじゃなくてね」。投げれば、投げるほど手応えをつかんでいったのだろう。開幕前に左太腿肉離れを発症したまま、投げ続けていたが、そんなマイナス材料も全く感じさせなかった。しかも、この年はシーズン中に、もう1箇所、負傷していた。
痛恨だった投手に許した本塁打、忘れぬ巨人の“メークドラマ”
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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