「大谷翔平流」で3年目左腕が激変 キャリアハイの快投の背景に「一からの見直し」

ロッテ・高野脩汰【写真:小林靖】
ロッテ・高野脩汰【写真:小林靖】

ロッテ・高野、1回3人斬りで10ホールドポイント

■楽天 4ー3 ロッテ(19日・ZOZOマリン)

 ロッテ・高野脩汰投手が19日、ZOZOマリンスタジアムで行われた楽天戦に7回から2番手で登板。3人をピシャリと抑えて5ホールド目を挙げた。今季は大事な局面での起用が増え、ここまで自己最多23試合に登板し10ホールドポイントを記録。防御率2.04と安定しており、3年目左腕が進化を示し続けている。

 3-2の7回からマウンドに向かった高野。先頭の辰己涼介外野手をカウント2-2からの147キロ直球で見逃し三振に仕留めると、後続もきっちり断った。13球で3者凡退。リードを保って後につないだ。試合は9回に追いつかれ、延長戦の末に敗戦。最下位に沈むチームは苦しい状況が続くが、27歳左腕の安定感は際立っている。

 日本通運から2022年ドラフト4位で入団。1年目は7試合に登板し、2年目の昨年はプロ初勝利を挙げたものの、6試合の登板にとどまった。腕を真上から振り降ろし、投げ終わった後に軸足である左足が地面に対して垂直になるほど高くはね上がるダイナミックな投球フォームが持ち味だが、シーズンを通してそのフォームが安定しなかったことが1軍に定着できなかった一因。そこで昨オフ、ドジャースの大谷翔平投手も利用するトレーニング施設「ドライブライン」の関係者に動作解析を求めた。

「フォームを一から見直しました。ドライブラインだけでなく、他にも個人で解析をやっている方にお願いして、複数動画を見ながらチェックポイントを分析して、もう一度、一から構築しました。今まではガムシャラに投げているところがあったので、それを細分化して、どういうふうに投げたらどんな球がいくというのが分かってきた実感があります。修正したり確認するポイントにもなっています」

 力の入れ具合、抜き具合などを改良した効果で140キロ台前半だった球速は安定して140キロ台後半を計測するようになった。2年連続で自主トレを行った同じ左腕で同郷・島根出身の前ソフトバンク・和田毅氏の助言も「大きいです」という。「『腹圧を高めよう』とか、メンタル面とか、フォームの細かいところも教えていただいた。それがシーズンにつながっています」。打者を圧倒する投球を身につけ、勝利の方程式の一角を担うようになった。

2戦連続敗戦投手後、2戦連続で好救援と立て直し

 今月3日の西武戦(ベルーナドーム)では2回無失点に抑えて無傷の5勝目をマーク。「今までよりいい場面を任せてもらっているというのは展開を見たら分かる」と首脳陣の期待が高まっていることを実感している。体調管理も見直し、寝具を一新。「枕、シーツなどを変えて、しっかり睡眠を取ってリカバリーにつなげています。サプリも摂取して体の回復を促したり、1軍のスケジュールに食らいついていけるようにやっています」とプロとしての自覚も強くなった。

 ただ、11日のオリックス戦(ZOZOマリンスタジアム)は回またぎとなった延長10回に2ランを浴びて今季初黒星。さらに13日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では同点の9回から登板してサヨナラ打を喫した。まさかの2試合連続敗戦投手。くしくも27歳の誕生日に悪夢を経験することとなり「誕生日は意識しないようにしたんですけど、『おめでとう』って言葉もかけられていて変に特別に考えてしまっていたところもある。複雑でした」と悔しさにまみれた記念日を振り返った。

「打たれた後は、いろいろ考えてしまう。葛藤がありました」という高野だが、4日ぶりのマウンドとなった17日のソフトバンク戦(みずほPayPayドーム)は2回1安打無失点。「ゼロで戻ってこられたのは、普段のゼロより価値が大きかったかなと思います」。すぐに立て直して“雪辱”できたことに胸を張った。

 2試合連続で敗戦投手となった後は、この試合を含めて2試合連続で好救援と再び仁王立ち。「負けが2連続でついて凄く悔しかったのですけど、より自分が投げている場面の大事さを感じることができました。今後も今の立場を維持して、1軍にずっと同行していけるようにやっていきたい。今まで以上にしっかりしないといけない」。負けを経験したことで、さらに成長が加速。チームのブルペンに絶対に欠かせない存在となっている。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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