糸井嘉男氏、43歳で挑んだ超過酷企画 超人の肉体が悲鳴…引退後も与えたい“感動”

Netflixシリーズ「ファイナルドラフト」に出演した糸井嘉男氏
Netflixシリーズ「ファイナルドラフト」に出演した糸井嘉男氏

Netflixのフィジカルサバイバル番組Netflixシリーズ「ファイナルドラフト」に出演

 日本ハム、オリックス、阪神で活躍した糸井嘉男氏が、Netflixのフィジカルサバイバル番組Netflixシリーズ「ファイナルドラフト」に出演。「超人」としてプロの第一線で活躍した42歳が、“超過酷な企画”に挑戦した理由を明かした。

 糸井氏は、プロ野球選手として首位打者、盗塁王、ベストナイン5回、10年連続オールスター出場、ゴールデン・グラブ賞7回と数々のタイトルを獲得。2022年限りで現役を退いた後は、解説者やタレントとして幅広く活躍。トレーニングは継続して筋骨隆々の肉体をキープしていたが、もどかしさも感じていた。

 ファイナルドラフトは、戦力外通告や引退を経験した元アスリートらが、肉体と精神の限界に挑むサバイバル企画。「引退してから、体を使って何か成し遂げたり、挑戦することがなくなっていた。解説とかをさせていただく中で、うずうずしていたところもあったんです」。

「オファーが来たときは『よし!』と。火が着きましたよね」。普段のトレーニングにも一層熱を入れ、体を仕上げた。しかし、想像を絶する過酷な争いが待っていた。

 企画が行われたのは冬。競技の詳細について何も聞かされておらず、アイマスクを取ると、広がる銀世界に絶望した。最初のステージでは、雪山に挑戦者が放たれ、ゴールを目指して上り続ける。「まず走れる角度じゃないんでね!? これ、とんでもないのに参加したなと思いましたよね」。未体験の急斜面をなんとか乗り越えクリアするも、ふくらはぎが悲鳴をあげた。

 これまで戦うことが無かったアスリートと、同じ土俵で戦う。参加者の中では、現役時代の実績は随一。数々の栄光を手にし、国民的スポーツである野球を極めたものとして、負けるのはプライドが許さなかった。

元アスリートとの過酷なバトルに挑んだ
元アスリートとの過酷なバトルに挑んだ

 ファイナルステージでは、長谷川穂積氏、正隨優弥氏とゴムに繋がれ、それぞれが這いつくばりながら目の前のボタンを目指す競技。糸井氏も唸り声を上げながら全身の筋肉を使うが、3者譲らぬ展開に。30分を超えても決着が着かない。

 意識は朦朧とし、残っていたのは意地だけだった。「あれだけ耐えることは人生もうないですね。足はゴムに引っ張られて、もう血も通ってない感覚だった。あの(ボタンまでの)距離のすさまじさはもう多分、分からへんと思いますよ」。

 連日、肉体を酷使し、筋肉痛は治らないまま次のステージに臨んだ。順位が低ければ寝床や食事が簡素になる。「しっかりお風呂も入りたいし、(日によっては)しっかり寝ることもできなかった。美味しいもの食べたい時もあったけど、それが無理だったからね」。競技以外でも試練が待っていた。

 過酷な1週間だったが、アスリートの素晴らしさを再確認した時間でもあった。「体で感動を与えられることってなかなかない。他の人を見ていても感動しましたしね。人間の限界って作っちゃいけないですし、無限大にあるものだと思うんです」。競技人生を終えてなお、身体を通じて感動を与えたい――。超人はこれからも、自らの限界に向かって走り続ける。

Netflixシリーズ「ファイナルドラフト」
Netflixにて世界独占配信中 (全8話 / 一挙配信)

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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