沖縄尚学に「行きたかった」、人消えた街に驚愕… DeNA沖縄出身者が“県勢15年ぶりV”に歓喜

DeNA・宮城滝太、平良拳太郎、神里和毅(左から)【写真:小林靖、小池義弘】
DeNA・宮城滝太、平良拳太郎、神里和毅(左から)【写真:小林靖、小池義弘】

宮城はリチャードに“ライバル心”「悔しかったです」

 第107回全国高校野球選手権は23日に甲子園球場で決勝が行われ、沖縄尚学が日大三(西東京)を3-1で破って優勝を決めた。沖縄勢の優勝は第92回大会(2010年)の興南以来、15年ぶり2校目の快挙。母校ではなくとも、DeNAに所属する沖縄県出身者も大喜びだった。

 さすが一体感が強く、地元愛に溢れる沖縄県民といったところか。東京ドームで行われた巨人戦前の練習は、甲子園決勝終盤の時間帯にスタートした。ロッカーで戦況を見守っていたという神里和毅外野手と宮城滝太投手は「あと2イニング!」と言いながらグラウンドに現れた。

 宮城は高校から滋賀学園高に“野球留学”しているが、沖縄尚学の練習を見学に行ったこともあるのだという。「実は昔、沖縄尚学に行きたくて、あのユニホームに憧れて野球をしていたんです」と“秘話”も明かした。

 二塁を守っていた比嘉大登内野手(3年)は知人の息子という縁もあるそうで、今大会も時間が合えばテレビに釘付けだった。それだけに思い入れも強いようで「めっちゃうれしいです」と自分のことのように喜んでいた。

 宮城にとって、1学年上で小学生時代から意識していたのが現巨人のリチャード内野手だった。同じ中城郡出身。「僕が憧れていた沖縄尚学に行って、ずっと名門だったので悔しかったです。でも今こうやって同じプロの舞台にいられる。県勢対決楽しみにしておいてください」と笑った。

平良は北山高3年時に初戦敗退、同年甲子園に出場したのが沖縄尚学だった

 平良拳太郎投手も「うれしいです。地元愛あるんで。沖縄ってやはり気になるんです」と頬を緩めた。新垣有絃投手と末吉良丞投手の“2年生リレー”には「熱い姿、すごかったです」と感銘を受けた。「国道58号から車や人が消えたっていうニュースや飛行機を増便したっていうのも見たり、沖縄が盛り上がっているのもうれしいですね」とフィーバーを実感していた。

 自身は北山高3年時、初戦敗退で最後の夏が終わった。この年、県予選を勝ち抜いて甲子園に出場したのが沖縄尚学だった。懐かしそうに思い出を辿りながら、県勢の快挙に拍手を送った。

 長いプロ野球シーズンは終盤に突入した。盛夏の中で懸命に汗を流し頂点を掴み取った高校生たちの姿は、同郷の先輩たちにとって背中を押してくれるような出来事にもなった。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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