渡部遼人が感謝する“熱血男”の存在 ずっしり感じた愛情…「僕を変えてやろう」

オリックス・渡部遼人【写真:小林靖】
オリックス・渡部遼人【写真:小林靖】

オリックス・渡部遼人は「常に良い準備」…松井コーチも絶賛

 オリックスの4年目、渡部遼人外野手が、代走や守備固めで存在感を示している。「今は、目の前の与えられた仕事を一生懸命、やるだけです」。渡部がクールな表情を引き締めた。

 渡部は桐光学園(神奈川)、慶大から2021年ドラフト4位でオリックスに入団。慶大時代には企図した盗塁を全て成功させ「失敗しない男」の異名を取った。プロ1年目の春季キャンプでは好打、好守、好走塁をアピールして新人野手ではただ1人の開幕1軍をつかんだ。ただ、16試合出場にとどまり、1軍定着は果たせず。2年目は20盗塁でウエスタン・リーグの盗塁王に輝いた。

 昨季はフォームの修正で打撃を磨き、65試合に出場。今季は4月中旬に1軍に昇格したものの、右脇腹の強い張りで戦列を離れた。6月下旬の7試合で22打数9安打、打率.409と打撃も向上。6月27日に再昇格後は守備固めや代走で出場している。

 昨年まで2軍で指導してきた松井佑介・1軍外野守備走塁コーチは「大事な場面での代走や守備固めは、本当に難しいんです。守りと足に関してはスペシャリストで、その部分の期待には大きいものがあります」と高い評価を与える。

 存在感を示したのは、昇格翌日の6月28日の楽天戦(京セラドーム)での守備。7回から中堅守備に就いた渡部は7-3の9回、先頭・辰己涼介外野手のセンターへの大飛球を背走しながらジャンプし、フェンスにぶつかってキャッチしてみせた。この回から登板した守護神、アンドレス・マチャド投手が被っていた帽子を右手に高々と掲げ、感謝の気持ちを表すほどのスーパープレーだった。

 松井コーチは、好守の背景に「常に良い準備をしてくれている」と渡部の取り組む姿勢を挙げる。「終盤の守備固めでは、球際の勝負になったりするので、準備が1番大切になるんです。こちらから(守備位置を)指示したりすることはありますが、遼人は、当たり前ですが配球や打者のタイプによって1球、1球、守備位置を変えています。そういう意味では、しっかりと考えてやってくれています。球際に強いし、チャージも速いし安心して守ってもらえます」。

 闘志を内に秘めるタイプ。昨秋のキャンプでは就任直後の波留敏夫・2軍監督から練習中、常に熱い言葉を掛けられた。「気持ちを表に出すよう、僕を変えてやろうという気持ちが伝わってきました」と渡部。冷静に戦況を見詰め難しいプレーをやってのけても、一喜一憂しないクールさは変わらないが、熱いハートをプレーに変えてチームを鼓舞する。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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