侍U-18を支える9番打者 米国指揮官も称賛…名門の“主砲”が果たす役目「使い果たす」

名門の3番でも…坂本が掲げる9番打者の役割
U-18野球日本代表「侍ジャパン」は13日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」スーパーラウンド最終戦でチャイニーズ・タイペイ代表と対戦し9-1で勝利。無傷の8連勝を飾った裏には、与えられた役割を全うする9番打者の存在があった。
「9番・右翼」でスタメン出場した坂本慎太郎投手(関東第一)は、この日3打数1安打。さらに最終回にはマウンドに上がり無失点で試合を締めくくった。二刀流の活躍が注目されがちだが、チームを支える“献身”も光る。
関東第一では3番打者として主砲の役割を担ってきた。しかし日本代表で任された打順は9番。全く違う役割を任されたが戸惑うことはなかった。打席に入ればバントの構えで相手投手を揺さぶり、隙あればセーフティバントで出塁。バスターの構えをしてみたり、粘って球数を投げさせるなど、あらゆる形でチームに貢献する。
「意識が変わりました。9番は繋いだり、塁に出なければならない役割。なので、安打だけでなく四球を狙う事で相手にもプレッシャーをかけることができ、投手の体力を奪えると思います」。自身の役割を明確に意識してきた。
米国代表戦での1打席をエクスタイン指揮官称賛「素晴らしい」
スーパーラウンド第1戦目の米国戦では延長8回の先頭で打席が回るとバントの構えを見せながら3ボールを奪う。1球見逃して3ボール1ストライクとなってから、7球連続でファウルにし12球目を見極めて四球を勝ち取った。チームはそこから5点を奪い勝負を決めた。
この打席は、米国のリック・ハーベルト・エクスタイン監督も「あの打席は素晴らしかった。日本がリードを拡大する事ができたので、あそこでゲームは決まったと思う」と絶賛するほどだった。
それでも名門校で3番を任された選手。長打を狙いたい気持ちがあるのではないかと不思議になるが「葛藤は全くないです」ときっぱり。「とにかくチームに勝ちを届けるため役割を果たすだけなので。自分を最大限に使い果たす事を心がけています」。勝つ事ができれば自分の結果にこだわらない。
U-12、U-15、U-18と唯一、全ての日本代表を経験してきた選手だからこそ分かる役目がある。数字に表れずとも、粘り強く、チームのために戦い続ける。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)