「まとめて出てきてくれた」 オリ厚澤コーチの“嬉しい大誤算”…CSへ盤石のドリームチーム

オリックス・厚澤和幸コーチ【写真:北野正樹】
オリックス・厚澤和幸コーチ【写真:北野正樹】

ブルペン陣が4試合連続で1点差を死守

 オリックスの厚澤和幸投手コーチが、ソフトバンク戦での奇跡的な好継投での4連勝を受け、ポストシーズンに向け中継ぎ、抑えのブルペン陣による「スーパー・ドリームチーム」を作り上げる。

「這い上がってきた投手たちによるドリームチームでした。これからの短期決戦でも、誰が登板しても抑えるというスーパー・ドリームチームで臨みます」。クライマックスシリーズ(CS)進出が決まる直前、厚澤コーチが力強く口を開いた。

 4位楽天とのCS進出争いを繰り広げる中、9月20日から敵地で行われたソフトバンク4連戦。直前の本拠地での3連戦に3連敗を喫した上、みずほPayPayドームでは13連敗(1分けを挟む)という相性の悪さだったが、ブルペン陣の奮闘で4試合連続して1点差を守り切った。

 特にインパクトを残したのは2試合連続して「8回無死満塁」で登板した山崎颯一郎投手だ。2日間で打者6人のうち、4人を三振(空振り、見逃し2つずつ)に仕留める完璧なリリーフ。山崎ほど目立ちはしなかったが、2番手で3試合に登板した横山楓投手や3番手で2試合に登板した椋木蓮投手は強打のソフトバンク打線を無失点に抑え、1試合登板の入山海斗投手とともに逃げ切りに貢献した。

 また、才木海翔投手は守護神、アンドレス・マチャド投手がベンチを外れた初戦と、3戦目にマチャドに代わり9回を締めた。

 才木、入山は育成出身。山崎、椋木はトミー・ジョン手術を受け、育成契約を経て支配下に。横山楓は昨季オフに育成契約となり、今年7月に入山と同時に支配下に再登録された。“胴上げ投手”の実績がある山崎も、昨季はけがで出遅れ、今季は調子が上がらず3度の登録抹消を経験。椋木も8月末に抹消され、中継ぎとして再出発を図ったばかり。6月に中日から金銭トレードで移籍し、ピンチを何度も救ってきたものの少し疲れの見えた岩嵜翔投手をカバーした。

 マウンドを託された投手たちの、それぞれの野球人生を知るからこそ、厚澤コーチはあの4試合のブルペン陣を「ドリームチーム」と呼んだ。「選手が伸びる時があるんです。普通はシーズンで1人くらいなんですが、今回はまとめて出てきてくれたんです。とにかくストライクが入ればいけるっていう考えが僕の中にあったんで、とにかく背中を押しまくりました」

 これまでの6回才木、7回岩嵜、8回ルイス・ぺルドモ投手、9回マチャドという起用からの新たな継投パターンの確立。「チェンジになった時、次、誰が出てくるのかって(ソフトバンクのベンチが)こっちを気にしているのを感じました。だれを出しても勝ちパターンというのが、シーズン終盤や短期決戦での僕の夢なんです。これは大きな武器になると思うので、もう一段レベルアップして、スーパー・ドリームチームにしていきます」。厚澤コーチの夢の実現がチームを高みへと導く。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY