入山海斗を変えた九里亜蓮の“指摘” 最多勝右腕が伝えた持ち味「忘れてはいけない」

オリックス・入山海斗【写真:小林靖】
オリックス・入山海斗【写真:小林靖】

3年目・入山の迷いを払拭した九里のアドバイス

 オリックスの育成出身3年目の入山海斗投手が、九里亜蓮投手のアドバイスで新境地を開いた。「去年までと球種を含め何も変わっていません。アレン(九里亜蓮)さんの話を思い出し、しっかりと腕を振って投げているだけです」。9月22日のソフトバンク戦でプロ2勝目を挙げた入山が、好救援の秘訣を明かした。

 入山は大阪府守口市出身。日高高中津分校(和歌山)、東北福祉大から2022年育成ドラフト3位でオリックスに入団。150キロ台前半のストレートと鋭く落ちるフォークを武器に、1年目から抑えで起用されてきた。高いポテンシャルを持ちながらも、「ちょっとおとなしいというか、あまり前に出ていけない」と入山が語るように、控えめな性格もあってか、大きく飛躍とまではいかなかった。

 2年で野球を辞めることも考えたが、山下舜平大投手から教わったパワーカーブを習得するなど、成長を感じて臨んだ3年目の7月に支配下登録された。登板2試合目となった8月17日の西武戦では、6‐6の延長10回から8番手として登板。1安打を許したが無失点に抑え、12回の廣岡大志内野手のサヨナラ本塁打につなげた。

 九里からのアドバイスは、9月11日の日本ハム戦の直後だった。3‐7の6回から3番手で登板したが、1死しか奪えず被安打1、3与四球、3失点で降板した。「(帰阪後の)練習中に、アレンさんから『逃げているつもりはないかもしれないが、ゼロで抑えよう、1点も取られたくないという気持ちが強く見えた。もっと腕を振って投げたら』と言っていただきました。

「自分では逃げているつもりはなかったのですが、点を取られたくないのでコースを狙いすぎて、結果として逃げているように見えたと思います」と入山は振り返る。「配球ではなく、気持ちの面だったんです。それからは、自分から崩れて点を取られるのではなく、しっかりと腕を振って投げることを心掛けています」。

 九里は「どのピッチャーの試合もテレビで観ています。腕を振って強いボールを投げるのが持ち味だよ、そういうところを忘れてはいけないよ、という話はしました」と話し、その後の投球については「僕は、大したことをやっていません。本人の力です。これからも、思い切ってゾーンに腕を振って投げてほしいと思います」と続けた。

「あれからは、マウンドで深く考えず思い切って投げています」。最多勝に輝きながらも、常に高みを目指して自己研鑽を重ねる先輩右腕の言葉を胸に刻み、マウンドに立ち続ける。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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