守護神は佐々木朗希“一択” 専門家が分析した継投策「山本リリーフ登板の可能性も」

ドジャース・佐々木朗希【写真:荒川祐史】
ドジャース・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

NPB通算89勝投手でメジャー中継解説で活躍中の武田一浩氏が分析

【MLB】フィリーズ 8ー2 ドジャース(日本時間9日・ロサンゼルス)

 大谷翔平投手を擁するドジャースは8日(日本時間9日)、本拠地で行われたフィリーズとの地区シリーズ第3戦に2-8で敗北。2勝1敗となり、地区シリーズの決着は同じく本拠地で行われる9日(同10日)の第4戦以降に持ち越された。現役時代に投手としてNPB通算89勝を挙げ、NHKのMLB中継解説者として活躍中の野球評論家・武田一浩氏が今後の展開を占う。

 強打者たちのバットに火がついた。この日、ドジャース先発の山本由伸投手は3回まで相手打線を無安打1四球に封じ込めていた。ところが1-0とリードして迎えた4回、レギュラーシーズンで大谷との本塁打王争いを制したカイル・シュワーバー外野手に飛距離139メートルの特大同点ソロを被弾。この1発を皮切りに、1犠飛を挟む4連打で3点を奪われた。

 山本は続く5回、連打で無死一、二塁とされたところで降板。4回0/3、67球6安打3失点に終わった。武田氏は「生命線のスプリットを引っ掛けてワンバウンドにするケースが目立ちました。山本にとってスプリットは、調子を測る上でバロメーターになる球です」と解説。「もし地区シリーズが11日(日本時間12日)の第5戦までもつれ込むようなら、ドジャースは救援投手陣が全く当てにならないだけに、球数も少なかった山本は中2日でリリーフ登板を求められる可能性があると思います」と予測する。

 8回にはサイ・ヤング賞3度の実績を誇り、今季限りでの現役引退を表明しているクレイトン・カーショー投手が通算180本塁打のJ.T.リアルミュート捕手に左中間へソロ、シュワーバーにもこの日2発目の2ランを浴び、一気に5点を失った。

 レギュラーシーズンでMLB30球団中2位のチーム打率.258を誇ったフィリーズ打線が覚醒(ドジャースは同6位の.253)。武田氏は「ドジャースが地区シリーズ第1、第2戦を連勝できたとはいえ、僕はもともと、フィリーズが全球団の中で一番手ごわいと見ていました」と語る。ドジャースが既にリーグ優勝決定シリーズ進出へ王手をかけているとはいえ、決して油断できる相手ではない。

第4戦は「先制点を取られないこと」、第5戦まで行けば「危うい」

 第4戦は「フィリーズ打線に火がついた格好ですから、ドジャース先発の(タイラー・)グラスノー(投手)は先制点を取られないことが重要です」と武田氏は指摘する。もしドジャースが敗れて2勝2敗のタイとなれば、運命の第5戦には大谷が投手として先発する予定だが、「そうなれば相手に“逆王手”をかけられた格好で、しかも第5戦の舞台は再び敵地となりますから、ドジャースは危ういと思います」と警鐘を鳴らす。

 また、救援投手陣がそろって不振の状況の中、クローザーを任せられるのは、レギュラーシーズン最終盤に怪我から復帰し、地区シリーズ第1、第2戦でもセーブをマークした佐々木朗希投手“一択”だろう。武田氏は「どう考えても朗希しかいない。メジャー1年目の今季は当初、カルチャーショックに苦しんだと思いますが、ここにきて表情から迷いが消えたように見えます」と評する。

 6日の地区シリーズ第2戦でドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、4-1とリードして迎えた9回、まずブレイク・トライネン投手を登板させ、3連打で1点差に迫られるとアレックス・ベシア投手にスイッチ。さらに2死一、三塁の窮地に立たされてから佐々木を投入し、辛くも勝利をモノにした。武田氏は「世界中の野球ファンが思っている通り、あそこは9回の頭から佐々木に託すべきだったと、僕も思います。今後もロバーツ監督の継投策が鍵を握ると思います」と強調する。

 2年連続ワールドチャンピオンへ向けて歩を進めるドジャースにとって、このフィリーズとの対戦こそが最大の難関なのかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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