麦谷祐介が西川龍馬に誓った活躍「一喜一憂せず」 忘れぬ“愛のムチ”「1本じゃ足りない」

怪我で離脱中の西川へ、麦谷が初のCSに意欲
オリックスのドラフト1位・麦谷祐介外野手が、クライマックスシリーズ(CS)で兄貴と慕う怪我で離脱中の西川龍馬外野手に成長した姿を見せる。
「いろんな先輩からアドバイスをいただきますが、一番もらうのが西川さんです。人に対する思いなど、野球だけでない人間性も尊敬できる兄貴です。一喜一憂せず、新人らしくプレーしたいと思います」。麦谷が西川への感謝とともに、初の大舞台での活躍を誓った。
背番号「7」の西川と「8」の麦谷。同じ外野手ということもあり、入団直後から西川に食事に連れて行ってもらうなど、目をかけてもらっている。バント失敗や守備のミスなどで落ち込みそうになった時には「切り替えが大事な世界だよ」と声をかけてもらった。「プロの世界で長く最前線で活躍している方からの言葉は、本当にありがたかった」と麦谷は語る。
シーズン半ばまで、ガッツあふれるプレーで喜怒哀楽を前面に出していた麦谷のプレースタイルが変わってきたのも、そんな助言があってのことだろう。「スタメンでずっと出ている人だったら、また明日もあると思えるのでしょうが、僕の立ち位置はそうじゃありません。だから結果に一喜一憂しないようにしています。もちろん、悔しいのは悔しいんですが。もっともっと謙虚にという気持ちを忘れずにやっています」と心情の変化を明かす。
松井佑介1軍外野守備走塁コーチは「1年目ですので覚えることはいっぱいあるし、試合の中で成功も失敗もあります。1軍は、1球で(流れが)大きく変わってしまう世界なので、準備というところがすごく大事になってきます。いい時はいいけれど悪い時は悪い、という部分は絶対になくしていかないといけません。そういう意味では少しずつ成長してくれていると思います」と、麦谷の変化を感じ取っている。
西川が左脛骨骨折し戦列を離れた後、麦谷はチャンスの場面での登場曲を西川が使っていた登場曲に変えた。9月28日の楽天戦(京セラドーム)では、2回の第1打席に先制タイムリーを放ち、この回5得点の口火を切った。
「登場曲を使っていることを報告したら『1本じゃ足りないよ。全然、まだまだ』と言われてしまいました」。この試合、2打席目以降は四球、空振り三振、空振り三振、四球の3打数1安打に終わったことに苦言が返ってきたそうだ。「もっと見せつけてやります」。兄貴の叱咤激励に応えて、登場曲が流れる本拠地での日本シリーズに向け、3位からの下剋上を誓った。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)