2軍でリーグ打率2位も「足りないんです」 来季飛躍へ…茶野篤政が追い求める打球の“質”

3年目は1軍出場わずか3試合
育成出身3年目で今季、ウエスタン・リーグ打率2位の茶野篤政外野手が、来季に向け打撃を磨いている。
「2位と言っても2軍ですから。打率3割では足りません。2軍にいるということは実力不足なんです。もっと打たないと1軍には上がれません」。温暖な宮崎でさらに日焼けをした茶野が顔を引き締めた。
茶野は、滋賀県東近江市出身。中京高、名古屋商科大、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスから、2022年育成ドラフト4位でオリックスに入団。俊足、好打、堅守の3拍子揃った外野手として紅白戦、オープン戦でアピールし、1年目の開幕直前に支配下選手登録された。史上初の育成出身選手として先発起用された開幕戦では、初打席初安打、初盗塁をマーク。14試合連続安打や初本塁打をグランドスラムで飾るなど、91試合に出場し中島聡前監督が狙ったチームの活性化に貢献した。
「1年目はある程度、勢いのまま行けただけ。しっかりと実力で結果を残したい」と臨んだ2年目は1軍出場が16試合。3年目の今季は2軍戦で116試合に出場し、打率.288はリーグ2位、28盗塁も同3位と足でもアピール。打率.309で7月1日に1軍昇格を果たしたが、3試合に出場しただけで7月9日に出場選手登録を抹消されてしまった。その後も好調な打撃を維持し続け、.311まで打率を上げたが、外野陣の層の厚さに阻まれ1軍から声が掛かることはなかった。
2軍生活が続いたが、大きな収穫もあった。「ゲームでなければわからないことがあるんです。2軍でたくさん打席に立たせていただき、調子が悪くなった時にどう直したらいいのかを1年間、考えながらやってきました。ノーヒットが続いた後、次の1本を出すためにはどのような練習をしたらいいのかも、模索しました」。チームトップの内藤鵬内野手(470打席)に次ぐ396打席は、茶野に考える力を与えてくれた。
「打球の質を上げたいですね。ライナーで強い打球を打てるようになれば、もっと率は上がります。打席の中での形や(ボールの)待ち方、打つ球を見逃さないようにすればいいと思います」。結果にこだわらず、実戦でしか学べない打席を重ねる。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)