内藤鵬が目指す“本拠地デビュー” 知人への恩返しを…半年かけて完成した登場曲に込めた思い

「本塁打を放つ」内藤鵬が秘めた思い
オリックスの3年目、内藤鵬内野手が知人に制作してもらったオリジナル登場曲を、来季の本拠地披露を目指し、みやざきフェニックス・リーグで汗を流している。
「半年もかけて作っていただいた登場曲ですから、来年は1軍に昇格してみなさんに聞いていただけるようにしたいですね」。内藤が人懐っこい丸い顔をほころばせた。
内藤は愛知県出身。日本航空石川高から2022年ドラフト2位でオリックスに入団。高校通算53本塁打を放ち大砲候補として期待されたが、1年目の5月5日の2軍阪神戦で、走塁中に相手野手と交錯し左膝鏡視下外側半月板縫合手術を受けた。10月のフェニックス・リーグで復帰し、2年目は順調なスタートを切るはずだったが、春季キャンプ中の守備で左肩を脱臼し2年連続して大きな手術を受けることになった。
大きな怪我をしなかった3年目は、期するものがあった。主に2軍の「4番」として122試合に出場し、チームトップの470打席も経験させてもらったが打率.227と打撃の状態は大きく上がらず、1軍に昇格できないままシーズンを終えることになった。
1軍昇格を果たさなければいけない理由もあった。春先に、知人を通して親しくなったミュージシャンのtani yutoさんが制作してくれた登場曲「帆」が、9月に届いた。「タイトルは名前の『鵬』をイメージしてくださいました。登場曲は約20秒という時間的な制限があり、最初の20秒に戦いに行くというようなイメージのメロディーを持ってきてほしいとお願いしました。音楽家の方はサビの部分を強調されるのですが、そこが一番ご苦労されたと思います」と感謝する。
ただ、登場曲は1軍の本拠地でしか響かせることができない。「まだ全然活躍していない僕のために、半年もかけて作っていただきました。早く京セラドームでたくさん『帆』を流せるように頑張りたい」と意気込む。10月6日から始まったフェニックス・リーグでは、スタートの5試合で2本塁打を含む20打数9安打、8打点、打率.450と気を吐いた。その後も、1試合を挟んで4試合連続して安打を放っている。
『帆を立てろ今 その時だ 無駄にしない努力 どこまででも飛んでみようか 夢に一歩一歩』
「歌詞にあるように、夢に一歩ずつ近づきたい」と内藤。初めて登場曲が流れる試合に、tani yutoさんと知人を招待し「本塁打を放つ」と心に誓っている。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)