三浦監督は「かっこいい辞め方」 元相棒が感じた“らしさ”…思わず漏らした「何の責任?」

DeNA・三浦大輔監督【写真:古川剛伊】
DeNA・三浦大輔監督【写真:古川剛伊】

昨年は26年ぶり日本一達成、就任初年度は最下位も“Aクラス率”は4/5

 DeNAは17日、敵地で行われた阪神とのクライマックスシリーズ(CS)第3戦に0-4で敗れ、3連敗で敗退が決まった。就任5年目の三浦大輔監督はリーグ優勝を達成できなかった責任を取り、辞任を表明した。現役時代に阪神、横浜(現DeNA)など4球団で捕手として活躍し、現役時代の三浦監督ともバッテリーを組んだ野球評論家・野口寿浩氏は「在任5年間でCSに進出できなかったのは就任初年度の2021年(最下位)だけ。いったい何の責任を取ると言うのか?」と惜しむ。

 三浦監督は就任1年目の2021年こそ最下位に沈んだが、翌年以降は2位、3位、3位、2位。昨年はレギュラーシーズン3位ながら、CSファーストステージで2位の阪神、ファイナルステージで優勝の巨人を撃破し、日本シリーズに進出。ソフトバンクを破る“下剋上”でチームにとって1998年以来26年ぶりの日本一を達成した。今季は同じく1998年以来途絶えていたリーグ優勝を目標に掲げたが、阪神に13ゲーム差をつけられ2位にとどまった。

 野口氏は「主力選手の怪我に泣かされ、指揮官としてどうにもならない時期もありました。そういう中で、5分の4の確率でAクラス入りを果たした。昨年、現行のルールなら3位からでも日本シリーズ制覇にこぎ着けることができることを実証した意義も大きいと思います。責任を取るというけれど、『何の責任?』と言いたくなります」と熱弁。その上で、「大輔(三浦監督)らしい、かっこいい辞め方だな、とも思います」と感慨深げに語った。

 現役時代に4球団で計21年間捕手として活躍した野口氏は、横浜には2009年から2年間在籍。当時エースだった三浦監督とは2009年の中日との開幕戦をはじめ、何度もバッテリーを組んだ。「大輔の素顔はイメージ通り。現役時代から責任感の塊で、後輩の面倒見がすごくいい男です」と称賛する。

球団関係者に漏らした「しんどいわ…」ラミレス前監督とは対照的

 指揮官としての采配は、基本的にオーソドックス。「ただ、2023年に佐野(恵太外野手)を1番に置いた時には驚きました。僕が取材で訪れた際に直接『どうして?』と聞くと、『首脳陣みんなで決めたことなんですよ』と言っていました。この時だけでなく、在任中の大輔から何度か聞いた言葉でした」と野口氏は明かす。

「監督とコーチの間の風通しがよく、コミュニケーションを密に取っていました。前任者(アレックス・ラミレス前監督)がデータを重視し、自分の判断で打順を頻繁に変えたりしていたのとは対照的だったと思います」と評する。

 三浦監督の辞任を惜しむ野口氏だが、「球団関係者からは『負けが込んでいる時の番長は、本当につらそうです。しんどいわ……と漏らしていたこともあります』と聞きました。それを聞いてしまうと、監督の激務をこれ以上続けろとも言えませんよね」。

 さらに「2021年から2023年までオリックスの監督としてリーグ3連覇を達成した中嶋(聡)さんも、2024年に5位となると、チーム内で悪い意味での“慣れ”を払拭するためとして、あっさり辞任してしまった。そういう意味では、DeNAにとっても丁度いいタイミングと言えるのかもしれません」とも付け加えた。

 DeNAは来季、新監督の下で改めて、長丁場のレギュラーシーズンを制するという“宿題”に取り組む。野口氏は「攻撃力は間違いなく高いと思います。その中でどれだけ“スモールベースボール”的な細かいことをやっていけるかが鍵になる」と予想。「ホームランや長打を待っているだけでなく、たとえば四球を選ぶこと、バントで送ること、相手の隙をつく走塁といった部分です。今季、阪神との差もその辺にあったのではないでしょうか」と指摘する。

 5年間にわたる番長の奮闘に敬意を表しつつ、来季のベイスターズに期待したい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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