止まらぬ日本人のヤンキース離れ 村上宗隆に302億円争奪戦も…米メディア指摘

ヤクルト・村上宗隆【写真:小林靖】
ヤクルト・村上宗隆【写真:小林靖】

かつては多くの日本人選手が憧れたピンストライプ

 日本の選手にとって、ヤンキースはもはや“憧れの地”ではなくなったのか。米スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」のジョセフ・ランダッソ記者は18日(日本時間19日)に「日本のスター選手たちは、もはやヤンキースを目的地とは見なしていない」と報じた。ヤクルトの村上宗隆内野手が今オフにもメジャーリーグに挑戦する可能性が囁かれている中、かつての常勝球団の動向に注目が集まっている。

 メジャー最多のワールドシリーズ制覇27回を誇り、1998年~2000年にも3連覇を達成するなど数々の黄金時代を築いてきた。かつては1997年にメジャー挑戦をした伊良部秀輝氏がヤンキースへの入団に強いこだわりを示すなど、常勝球団として日本選手からも憧れの名門だった。だが、松井秀喜氏がワールドシリーズで大活躍した2009年を最後に世界一の座から遠ざかっている。

 同記事では、伊良部氏や松井氏以外にも、井川慶氏や黒田博樹氏、田中将大投手(巨人)ら日本の数々のスター選手がヤンキースでプレーしたことに言及。「かつてヤンキースは日本出身スター選手たちにとって”目的地”だった時代があった」と振り返った。

 しかし、2017年オフに大谷翔平投手がメジャー挑戦を表明した際、ヤンキースについて「全力で獲得に動いた。だが、その期待はすぐに打ち砕かれた。オオタニの代理人は、初期の段階で、ヤンキースには行かないことを伝えたのだ」と振り返った。

 その後、山本由伸投手や佐々木朗希投手もヤンキースは「選択肢ではなかった」と解説。ヤンキースが日本人選手に見向きもされない背景には、東海岸という地理的要因も挙げられている。それでも記事は「もしも今、2人(松井氏や田中)を再び獲得可能だったとしても、彼らはニューヨークを(移籍先候補として)検討するだろうか、という疑問さえ湧く。この球団にとっての、”最も重大な変化”が、16年間この球団に在籍していたブルペンコーチのマイク・ハーキーと別れることという有様だ。これこそヤンキース流の特別主義の極みである 」とし、球団の現在の体制に対する自己反省の欠如も指摘した。

 村上に対するヤンキースの立ち位置も「オオタニの時と同じような”いつものお決まりのパターン”になりそうだ」と予想。村上獲得は「ヤンキースの運命を変える一つの方法だ。彼はMLB球団にとって次なる大スター候補であり、彼を獲得できれば、ヤンキースが今なお魅力的な移籍先であることを示せるだろう」としつつ「もしも獲得に失敗すれば、またしても”地理的要因”を理由にした言い訳めいたプロパガンダを聞くことになる」と手厳しく指摘した。

 一部の米メディアからは2億ドル(約302億円)規模の契約を結ぶ可能性があるとみられている村上。ヤンキースが再び日本人選手から“選ばれる球団”となるかどうか、この冬が一つの分岐点となるかもしれない。

(Full-Count編集部)

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