8年前の因縁…ド軍ファンは今でも「大嫌い」 待つ“洗礼”「ブーイングなしでは済まない」

トロントでの英雄がロサンゼルスでは強烈な敵意の的に
ドジャースは24日(日本時間24日)から開幕するワールドシリーズでブルージェイズとの頂上決戦を迎える。ブルージェイズのジョージ・スプリンガー外野手は、アストロズのサイン盗み問題が発覚した2017年のワールドシリーズでMVPを獲得した因縁の相手で、米メディアは「ブーイングなしでは済まなそうだ」と報じている。
2017年のワールドシリーズではドジャースとアストロズが激突。第7戦で当時ドジャースでプレーしていたダルビッシュ有投手を攻略したアストロズが、球団創設56年目で初のワールドチャンピオンに輝いた。スプリンガーは打率.379、5本塁打、7打点、OPS1.471でシリーズMVPに選ばれた。しかし、それから2年後にアストロズのサイン盗みが発覚した。
米全国紙「USAトゥデイ」のボブ・ナイチンゲール記者は23日(日本時間24日)、「ジョージ・スプリンガーの意気揚々たるワールドシリーズ復帰は、ブーイングなしでは済まなそうだ」と題した記事で、この因縁を取り上げた。
スプリンガーは今季、ブルージェイズの一員として打率.309、32本塁打、84打点、OPS.959の成績を残した。ポストシーズンでは、マリナーズとのリーグ優勝決定シリーズ第7戦で、7回に逆転3ランを放ってブルージェイズのワールドシリーズ進出に大きく貢献した。
ナイチンゲール記者はこの一打を「約4200万人のカナダ人は、スプリンガーをハグしたいと思っているだろう。彼がALCS第7戦で放ったホームランが、1993年以来初めてブルージェイズをワールドシリーズへと導いた。32年間で最も魔法のような瞬間をトロント・ブルージェイズに届けてくれたのだから」と評した。
一方で、舞台がロサンゼルスへ移る第3戦では、厳しい空気が待ち構えている。ナイチンゲール記者は「ドジャースファンはスプリンガーが大嫌いだ」とし、2017年のワールドシリーズでMVPに輝いたスプリンガーが、未だ因縁の象徴として記憶されていることを指摘。8年経った現在でも、当時のアストロズ選手たちに処分が下らなかった事実が、ファンの怒りを再燃させていると記した。
スプリンガー本人はこの話題になると笑顔が消える。「結局のところ、自分にはやるべき仕事があって、試合に集中しなければならない」と語った。「それがプランだ」と明かしつつ、これまで何度もブーイングを浴びてきたドジャー・スタジアムで戦うことに「集中するのは試合のこと、そして自分のベストを尽くしてプレーすることだ」と述べ、なんとか笑顔を作ろうとした。
現在のチームメートたちは、スプリンガーのリーダーシップやトロントでの慈善活動に尊敬の念を抱いているという。ナイチンゲール記者は「彼らはスプリンガーに“汚れのない”ワールドシリーズリングを勝ち取ってほしいと願っている」と表現した。スプリンガー自身も「ドジャースを倒せたら、僕らにとって、この街にとって、そしてカナダ全体にとって特別なことになる」と語り、頂上決戦に向けて悲壮感も漂う覚悟をにじませていた。
(Full-Count編集部)