未来のスターが沖縄から誕生? 選手育成と野球界の裾野拡大…オフの貴重な実戦機会に

「ジャパンウィンターリーグ(JWL)2025」が今冬沖縄で開催される
パシフィックリーグマーケティング株式会社(PLM)は9日、株式会社ジャパンリーグとの提携を発表した。今冬に沖縄で開催される「ジャパンウィンターリーグ(JWL)2025」において共同プロジェクトを実施する。プロジェクトは二本柱で構成される。1つはTボール(バッティングティーに置いたボールを打つ競技)教室の開催。沖縄の子どもたちに体を動かす楽しさやスポーツの魅力を伝えることを目的とする。もう1つは、スポーツテックやウェルネス分野のスタートアップ企業を対象としたアクセラレータプログラムの開催。野球産業の発展と沖縄の地域創生を目指す。
JWLは2022年に設立された新しい野球リーグで、開催地は沖縄。11月下旬から12月にかけて行われる。コンセプトは「陽の目を見ない場所に光を」「野球界の登竜門を沖縄に」。設立の背景には、選手育成と野球界の裾野拡大という大きな目的がある。従来、日本の野球界ではオフシーズンに公式戦がなく、若手や所属先を探す選手が実戦経験を積む場が乏しかった。JWLはその“空白期間”を埋め、試合を通じた成長と次のステージへの挑戦の機会を提供している。
JWLをオフシーズンの貴重な実戦機会の場として活用した選手も多い。楽天の西口直人投手はトミー・ジョン手術から復活し、今季オールスターに初選出された。西武の仲三河優太外野手は育成契約から支配下登録を勝ち取り、プロ初打席で初安打・初打点を記録した。今年で4年目を迎えるJWLには、西武や台湾プロ野球球団が昨季に続き参加。新たにヤクルトとロッテの選手派遣が決まっている。
JWLは「アドバンスリーグ」と「トライアウトリーグ」の2カテゴリーで構成される。「アドバンスリーグ」は主にNPB、独立リーグ、社会人野球などの所属選手が中心で、さらなる実戦経験を積み、選手個人のスキルアップとコンディションの深化を図ることを目的としている。「トライアウトリーグ」は、JWLのコンセプトである「陽の目を見ない場所に光を」を体現するカテゴリー。主な参加者は、新たな所属先を探している選手、あるいは自分の実力を試したいと願う意欲的な選手たちだ。
最先端のテクノロジーを駆使したデータ分析を導入
参加選手の多様性も特徴である。昨季は日本をはじめ、アジア、北米、中南米、ヨーロッパの計14か国から145人が出場。NPBや独立リーグ、社会人野球などに所属する選手が課題克服に挑むほか、国内外からプロを目指す個人参加選手も集まり、トライアウトの場としても機能している。
JWLのもうひとつの大きな特徴は、最先端のテクノロジーを駆使したデータ分析が導入されている。試合では高性能トラッキングシステム「ラプソード」などが稼働し、球速、回転数、打球速度、スイング軌道など、感覚では捉えきることができない詳細なデータがリアルタイムで収集される。専門家による分析セッションも行われ、選手は「なぜ結果が出たのか、出ないのか」を客観的な数値で理解し、戦略的に次の実戦、そして将来のキャリアへとつなげる力を身につけることができる。
今季のJWLは11月22日に開幕し、12月18日までの約1か月間、沖縄各地で熱戦が繰り広げられる。NPB球団の参戦拡大に加え、海外プロ選手の参加も続き、過去最高の熱気が期待される。沖縄から未来のスターが誕生する瞬間は、目前に迫っている。
(「パ・リーグ インサイト」高木隆)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)