野球を通じて未来を切り拓く冬 沖縄でのWLが育む挑戦と学び…示す新たな価値

2024年のJWLは国内外の選手が集まった【写真提供:(C)株式会社ジャパンリーグ】
2024年のJWLは国内外の選手が集まった【写真提供:(C)株式会社ジャパンリーグ】

昨年参加した楽天・西口は今季TJ手術からの復活を果たし球宴初選出

 パシフィックリーグマーケティング株式会社(PLM)は9日、株式会社ジャパンリーグとの提携を発表した。今冬、沖縄で開催される「ジャパンウィンターリーグ(JWL)2025」において共同プロジェクトを実施する。Tボール体験会やアクセラレータプログラムを通じ、野球産業の発展と沖縄の地域創生を目指す。一般の野球ファンにはまだ馴染みの薄いJWLだが、今季トミー・ジョン手術からの復活を果たし、球宴に初選出された楽天・西口直人投手も昨年参加した日本唯一のウインターリーグだ。今年で4年目を迎え、西武や台湾プロ野球球団が昨季に続いて選手を派遣。さらに今季はヤクルトとロッテの派遣が新たに決まり、注目が集まっている。

 プロを志す選手や次のステージを見据える学生、そして野球を通じて成長したいすべての人たちの戦いに終わりはなく、「冬の挑戦が、未来を変える」を体現する舞台が、沖縄で開催されるJWLだ。「実戦・学び・出会い」を提供し、選手個人のキャリアを進化させるための「成長の場」となっている。

 約1か月間の開催期間中に最大20試合前後(全日程参加の場合)の実戦を提供。参加選手のほとんどはほぼ全ての試合に出場することができ、出場機会が少なかった選手、実戦経験を積みたい選手、ケガ明けのリハビリとして実戦を積みたい選手などが参加する。昨年は西口のほかにも、今年6月に支配下登録を勝ち取った西武の仲三河優太選手がJWLで実戦を積んだ。

 さらにJWLは、世界へとつながるショーケースとしての役割も果たしている。これまでにMLB、NPB、CPBL(台湾プロ野球)など8か国40球団以上のスカウトが沖縄を訪れた。試合では高性能トラッキングシステム「ラプソード」などが稼働し、投球や打撃のデータを数値化。データの映像配信と組み合わせることで、現地に足を運べない国内外のスカウトや球団関係者も遠隔で視察できる体制が構築されている。

 JWLは実戦提供をするだけでなく、グラウンド外でも「レベルアッププログラム」と呼ばれる教育プログラムを展開し、選手の成長を多角的に支援している。栄養指導、メディカルケア、メンタルトレーニング、データ分析を学べるほか、自己管理力やキャリア設計を学ぶセルフマネジメント講座など、学びの場が数多く用意されているのも大きな特徴。短期集中ながらも、これらの専門的なサポートは、今後の競技者としての成長だけでなく、「人としての成長」に繋がる場にもなっている。

 沖縄には、国内外の現役プロ野球選手をはじめ、独立リーグ、社会人野球、大学、専門学校、クラブチーム、さらにはアジア、北米、中南米、ヨーロッパなど海外から様々なバックグラウンドを持つ選手が沖縄に集う。コーチ陣も日本や海外から集まり、チームや立場を超えたコミュニケーションも盛んだ。異なるプレースタイルや野球観、文化に触れることは、技術だけでなく、人間関係やネットワークにも影響し、和歌山ウェイブスで活躍する森下尋水(当時:火の国サラマンダーズ所属)は、元フィリーズ打撃コーチで現在台湾の中信兄弟で打撃コーチ務めるサラ・エドワーズ氏から声をかけられフィリーズとの契約には至らなかったものの、自身の成長へ繋げた。選手募集の申込みは11月7日までとなっている。

(「パ・リーグ インサイト」竹林慎太朗)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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