大学中退→独立経由でプロ入り…田島光祐の成長 心に刻んだコーチからの言葉

育成ドラフト5位の新人、田島光祐が打撃向上に励む
オリックスの育成ドラフト5位の新人、田島光祐捕手が「みやざきフェニックスリーグ」で打撃を磨いている。「守備は少し成長したと思うので、打撃に課題を置いてやっています」。宮崎の強い日差しで日焼けした顔を引き締めた。
田島光は岐阜・各務原市出身。龍谷大平安高(京都)の3年夏の甲子園に「6番・捕手」で出場した。その後は、大学に進学したが、プロを目指して中退し独立リーグのルートインBCリーグ、信濃グランセローズに入団し、2024年は主将として日本独立リーググランドチャンピオンシップ初優勝に貢献。2024年育成ドラフトでオリックス入りした。
プロスカウトとして田島光の獲得に携わった球団職員の匠政博さんは「二塁送球1.9秒台で、スローイングも安定していました。投手の特徴を生かしたリードができて周りが見えてチームも引っ張れるという、キャッチャーらしいキャッチャーとして推せました」と評価したポイントを明かす。ファームで指導にあたる松井雅人2軍バッテリーコーチも「入団時からある程度、捕ったり投げたりはできていて、キャッチャーらしいキャッチャーという印象でした」と口を揃える。
そうなると、課題となるのが打撃面のレベルアップだ。今季は45試合に出場し、113打数18安打、11打点、打率.159。信濃の1年目に打率.270をマークしたこともあるが、プロの球の強さに戸惑うことが多かった。
フェニックスでは「強く振る」をテーマに取り組んでいる。「率もそうですがシンプルにピッチャーに対してどれだけコンタクトができるか。配球(を読む)以前に、ピッチャーと勝負ができていない段階ですので」と愚直にバットを振る。
3月のオープン戦で1軍に合流した時、川島慶三1軍打撃コーチから「1球、2球で(投球に対する)アプローチを変えていかないと、1打席を無駄にすることになるよ」とアドバイスをもらった。「やはり1日1日の積み重ねで、急にはうまくはならないんで。練習をやっている意味を考えながらやっています」。助言の意味を反芻しながら冷静に自身の打撃と向き合う。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)