山本由伸が覆した現代野球の“常識” カーショーが絶賛した理由「本来の姿に戻るかも」

近年ではオープナーの戦略も…先発完投型の投手は減る一方だった
【MLB】ドジャース 5ー1 Bジェイズ(日本時間26日・トロント)
9回を投げ切る山本由伸の姿が頼もしく映った。試合後のドジャースのクラブハウス。クレイトン・カーショー投手は2試合連続の完投勝利を挙げた右腕を褒めちぎった後、球界全体へ与える影響についても口にした。
「正直、2試合連続完投が見られるとは思っていなかった。でも、もしかしたら野球が本来の姿に戻る兆しかもしれないね。やっぱり先発投手の投げ合いは野球の醍醐味だ。こういう試合を見れば、将来またそういう流れに戻っていくかもしれないね。そう願っているよ」
カーショーは3度目のサイ・ヤング賞を受賞した2014年にリーグ最多6度の完投を記録するなど、元々は先発完投型だった。しかしメジャーでは先発、中継ぎ、抑えと分業化が進み、近年ではオープナーやショートスターターといった戦略も。今季のシーズン最多完投はニック・ロドロ(レッズ)、フランバー・バルデス(アストロズ)、タナー・ビービー(ガーディアンズ)の2試合がメジャー最多。先発完投型の投手はほぼ“絶滅危惧種”だった。
「多くの投手は完投できる力を持っていると思う。ただ、今の時代の流れがそれを難しくしているんです。球数が増えても球威が落ちているわけじゃないのに、リリーフが充実しているから打線の3巡目になると違うタイプの投手を出そうとする考え方が主流だ。でも、今のヨシのような投球内容、そして今のチーム構成なら150球でも投げられると思うよ」
先発投手が長い回を投げれば、チームに多くのメリットが生まれると力説する。
「先発が長いイニングを投げてくれれば、救援陣への負担が減り、適切な場面で起用できるようになる。打線にも余裕が生まれる。つまり野球は全て先発投手から始まるんだ。そして今の僕たちのローテーションには、4人もそんな先発がいる。本当に恵まれているよ」
山本の完投勝利でチームは対戦成績を1勝1敗に戻した。過去のデータでワールドシリーズ第2戦の勝者は65%(通算78回)で世界一、ポストシーズン全体で第2戦の勝利チームは70.6%(通算271回)でシリーズ勝利する。ドジャースがシリーズの流れをガッチリつかんだ。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)