米進学は「MLBに行くためではない」 佐々木麟太郎の胸中…取材窓口が代弁「かなり驚き」

「大学の野球部の全ての活動が終了するまでは何も動きはない」
ソフトバンクからドラフト1位で指名されたスタンフォード大・佐々木麟太郎内野手のマネジメント会社が27日、報道陣の取材に対応した。取材窓口となっている株式会社ナイスガイ・パートナーズ代表取締役の木下博之氏は「スタンフォード大学の全ての活動、野球部の全ての活動が終了するまでは何も動きはないですし、本人もまずは目先の試合、練習、学業に取り組んでいくという状況でございます」と現状について語るとともに、佐々木本人の思いを代弁した。
23日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」でソフトバンクとDeNAが1位入札で競合。城島健司CBOがクジ引き役として壇上に上がったソフトバンクが、残りクジで交渉権を獲得した。現在、佐々木はスタンフォード大学在学中で来年5月ないし6月の同大野球部の活動が終わるまで交渉、契約ができないことになっている。7月にはMLBのドラフトが行われる予定でそこで佐々木が指名される可能性もある。ソフトバンク側はそれまで待つこと、さらに佐々木本人が入団に至らない可能性も覚悟の上で1位指名に踏み切っていた。
木下氏はまず会見を開いた理由について「皆さんに対して十分に情報提供できていない状況と、どうしても色々な憶測記事だったりが拝見されるので、その辺を改善していきたいなと思ってお時間を頂きました。残念ながら本人とか、あとはご家族、母校の方にも取材の問い合わせだったりとか、実際に立ち寄るような方も散見されたので、今後はそういったことがないようにお願いしたい」と説明。報道陣に節度ある行動を求めた。
ドラフト当日、現地時間深夜にも関わらず、佐々木はインターネットでドラフトの状況を見ていたという。指名直後には王貞治球団会長と電話で会話。木下氏は「本人の電話番号は知らないはずで、隣にエージェントがいて、そこに電話が来て、代わって王さんから一言いただいたというのが正しい経緯」と、本人との事前接触等がなかったことを強調した。
ドラフト前には、花巻東高監督で父の佐々木洋氏には複数球団から問い合わせがあったという。洋氏から各球団には「指名枠を無駄にさせてしまう可能性が高い」と伝えており、木下氏は「12球団OK、指名してください、というようなことを言った事実は全くございません」。DeNA、ソフトバンクから1位指名の事前連絡はなく「指名されるだろうという世の中の空気で感じてはいましたが、2球団、特にDeNAさんにいきなりご指名いただいたときにはかなり驚きました。それは佐々木監督も、ご本人もそうだと思います」とも振り返っていた。
「来年のシーズンは間違いなくスタンフォード大学でプレーをする」
果たして、佐々木がソフトバンクに加わる可能性はあるのだろうか。
そもそも、佐々木がスタンフォード大進学を決めたのは、直接、MLBに挑戦するためではない、と木下氏は説明する。「長い人生を考えたときに、もっともっといろんな学びであったり、いろいろな人との関係値を深めていきたいと願って、静かな環境で学業と競技に専念してほしいという形でアメリカの道を選びました。将来的な夢というのは、それこそ高い舞台であり、MLBでプレーすることかもしれませんが、決してすぐにMLBに行くから、アメリカの大学を選んだわけではない。(NPBには行きたくないということも)ないです」。長い人生を考えた上での決断で「スタンフォード大進学=MLB挑戦」ではない、とした。
木下氏は今後について「来年のシーズンは間違いなくスタンフォード大学でプレーをするということはもう決めているので、それが揺らぐことはありません。来シーズンしっかりとそこで活躍をして、大きな舞台に行けるように、もしくは大学に残るっていう選択肢も当然あるので、いろんな選択肢を彼の中で考えながら、長期的な視野を持って将来を考えていくという流れになる」と説明。来年6月頃までは確実にスタンフォード大でプレーし、7月に予定されているMLBドラフトを待って、進路を決めることになるという。
佐々木はスタンフォード大を卒業したいという強い意志を持っているという。ただ、アメリカの大学には休学制度が整っており、スタンフォード大の場合は期限なく休学できる。木下氏も「アメリカは才能だったりが旬な時に求められる場所でそれを生かすんだという価値観、常識がある。大学をお休みをして、自分が競技を離れた時、もしくはオフシーズンに大学に戻って単位を取り直して卒業するということも十分ある道。そういった可能性がある」と説明。ソフトバンク入団やMLBのドラフトで指名されてそちらを選んだ場合でも、この休学制度を活用する可能性があるという。
最終的な進路決定の時期について、木下氏は「来年のオールスターブレークあたりでそういった動きがあると思います」とMLBのドラフト後を示唆。「まずはそこ(MLBのドラフト)にちゃんと指名していただけるような選手になることが1つの目標でしょうし、スタンフォード大学としても大学チャンピオンシップのトーナメントにしっかり出る、出場する、優勝するっていうのが一つの大きな目標なので、そこに向かって本人も頑張っているという状況です」と語る。リミットは9か月後の7月末。佐々木はいかなる決断を下すのか。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)