入山海斗が抱く不安「来年、1軍に上がれない」 飛躍の4年目に掲げた“課題”

オリックス・入山海斗【写真:北野正樹】
オリックス・入山海斗【写真:北野正樹】

プロ初勝利をあげた入山海斗、オフに取り組む課題克服

 オリックスの育成出身、3年目の入山海斗投手が走者を出してからの投球の課題克服に取り組んでいる。「いろんな経験はできましたが、いい時と悪い時の差が激しかった1年。防御率も高いし、これじゃ来年、1軍に上がれません。(年俸が)上がるのはうれしいんですが、僕が監督なら使いづらいから使いません。不安の方が大きいです」。入山が真剣な表情で打ち明けた。

 入山は大阪府守口市出身。日高高中津分校(和歌山)、東北福祉大から2022年育成ドラフト3位でオリックスに入団。1年目から抑えとして起用され、最速154キロのストレートを武器にウエスタン・リーグで44試合に登板、5勝3敗13セーブ、防御率2.36と数字を残した。しかし、2年目は39試合で3勝2敗8セーブ、防御率3.18と伸び悩んだ。

 2年で支配下を掴めなかったらプロの世界から身を引く覚悟だったが、気持ちを切り替えて3年目に挑戦。防御率3.86と圧倒的な数字は出せなかったが、「パワーピッチャーが必要」という1軍の要請で支配下登録期限直前の7月30日に横山楓投手とともに、支配下入りを果たした。

 1軍4試合目の登板となった8月26日のロッテ戦、2‐2の12回から登板して3人で片づけると、太田椋内野手のサヨナラ打でプロ初勝利。15試合で2勝0敗、1ホールドと存在感を示した。

 それでも、入山の表情は冴えないのは、好不調の激しさと防御率の悪さ(5.02)からだ。原因は分かっている。「抑える時は3者凡退が多いのですが、走者を出すと結構、点を取られているイメージがあります。クイックが上手くできないので、不安が大きかったんです」。1アウトも取れずに降板した10月1日の西武戦でも、先頭打者に安打を許した後、安打、内野安打、2点適時打と連打を浴びてしまった。

「ランナーを出してから、クイックのタイミングが合っていなかったんです。今は、クイックでも力がしっかりと入るフォームで投げることができるように練習しています」と入山。一度は諦めた支配下を経験。「投げさせてもらって嬉しかったですが、プロの素晴らしさも厳しさも味わった1年でした」。未知の世界で手にした経験と課題を胸に、プロ4年目に臨む。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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