金満との批判もカーショー一蹴 ド軍に流れる“フォア・ザ・チーム”「気持ちは金で買えない」

記念撮影に応じるドジャースナインとクレイトン・カーショー(中央)【写真:荒川祐史】
記念撮影に応じるドジャースナインとクレイトン・カーショー(中央)【写真:荒川祐史】

現役最後の試合でワールドシリーズ制覇「こんなシナリオ書けないよね」

【MLB】ドジャース 5ー4 Bジェイズ(日本時間2日・トロント)

 もう声はガラガラだった。ドジャースのクレイトン・カーショー投手は世界一連覇のシャンパンファイトを終え、チームメートへの称賛の言葉を並べた。

「全てが信じられないような試合だった。ショウヘイが中3日で投げたところから始まって、ブレイク(スネル)、タイラー(グラスノー)も投げた。そしてヤマ(山本由伸)が今夜やったことなんて、もう2度と見られないと思う。おそらく最も根性と覚悟が必要な登板だったと思う。シーズン中は中6日だったのに自分から『投げる』と言って。本当に言葉にできない。どんな気持ちでマウンドに立っていたか、想像することしかできない」

 現役最後の試合でワールドシリーズ連覇。奮闘した仲間たちを褒めちぎった。

 通算223勝を挙げ、3度のサイ・ヤング賞を受賞した。輝かしいキャリアを築いたが、このポストシーズンではブルペン待機だった。それでも、延長18回の死闘となった第3戦でピンチを切り抜けるなど、チームのために奮闘。37歳のレジェンド左腕を支えたのは、フォア・ザ・チームの精神だ。

「よくドジャースは『お金を使っているから勝って当然だ』と言われる。でも、人の性格や仲間のためになんでもやろうという気持ちはお金では買えない。ウィル・スミスなんて延長18回マスクを被って、その翌日また試合に出て。スター選手はどのチームにもいるけど、ここまでチームのために何でもするスターが揃っているチームはないよ」

 チームのためなら何でもする。その象徴がワールドシリーズ3勝を挙げた由伸だったという。第6戦で6回5安打1失点。第7戦では9回途中から2回2/3を1安打無失点に封じてシリーズMVPに輝いた。

「僕だって中1日なら経験はあるけど、中0日はない。とても気分がいいもんじゃないはずだ。本当にすごい。ボールの質も素晴らしかった。日頃、どんな準備をしているんだろうって思うぐらい。僕も18年前だったら、ああいう準備をしたかもしれないね」

 ドジャース一筋18年。3度目のワールドシリーズ制覇という勲章を得てユニホームを脱ぐ。

「引退の実感は少しある。でも悲しさは全然ないね。だって一生言えるんだ。『現役最後の試合で、ワールドシリーズ第7戦で勝った』と。こんなシナリオ、書けないよね。88マイルしか投げられなくても満足だよ」

 37歳のレジェンドは笑顔で現役最後の囲み取材を締めくくった。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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