1位指名のはずが…ドラフト前日に告げられたまさかの一言 受け止めた現実「自分の実力」

ロッテ、楽天で活躍した今江敏晃氏【写真:町田利衣】
ロッテ、楽天で活躍した今江敏晃氏【写真:町田利衣】

PL学園高3年夏は出場辞退…今江敏晃氏は2001年ドラフト3巡目でロッテ入り

 通算1704試合出場を誇る今江敏晃氏は、2001年ドラフト3巡目でロッテに入団してプロ生活をスタートさせた。PL学園高では1年時から主軸として活躍していただけに、スカウト陣からも注目の存在だった。事前に1位指名の可能性を耳にしながら直前に覆るという想定外の事態にも見舞われたが、無事に「プロ野球選手」という幼少期からの夢を叶えた。

 主将を務めていた高校3年時は部の不祥事により6月から半年間の対外試合禁止処分となり、戦わずして“最後の夏”は終わった。絶望の中で実家に戻り、家族や地元の友人と過ごす中で次第に気持ちを切り替え、次の目標に向かって動き出していった。

 ドラフト会議を控え、ロッテが1位指名する可能性が高いという話が今江氏の耳にも入っていた。しかし前日だった。「誰に言われたかは記憶にないんですが、『いろいろな兼ね合いがあるので1位じゃなくなる可能性が高い』と。1位ってすごく名誉なことなので、少し残念だったのはありますけど、不安は全くなかったです。プロ野球選手になることがまず目標でしたし、自分の実力がそこまでなんだなって」。

 ロッテについてはあまり知らなかった。京都府出身の今江さんだが、両親の影響で幼少期から巨人ファン。中学生の頃には、自室の壁に巨人のカレンダーを貼り、余白に「巨人に1位指名で入団する」と書き込んでいた。なのに、ロッテからの指名に喜びを感じていた。

春季キャンプでレベルの高さに仰天も「全くやれない感じはなかった」

「当時の内野は初芝(清)さん、小坂(誠)さんとすごい選手がいたけど、年齢を考えると自分よりだいぶ上。そう考えたら、入団して成長していったら数年後にチャンスがあるんじゃないかなと思っていましたね」

 1年目の春季キャンプで先輩たちのフリー打撃を見て、打球音や打球スピードの違いに度肝を抜かれた。「その中に確実性や奥深さがあったんです。ただ、全くやれない感じはなかったので、何とかついていけるように必死にやっていました」。そして2軍の教育リーグでいきなりアーチを連発。開幕直前、調整登板のため2軍のマウンドに上がっていた主力級投手からも結果を残した。

 その成果が認められ、4月に小坂氏が怪我をしたタイミングでプロ初昇格。高卒新人ながらプロ初安打も初打点もマークした。「一日でも早くこの世界でと思っていましたけど、そんなにすぐに1軍デビューできると思っていませんでした。思ったより順調なスタートでしたね」。そして2005年、大ブレークの1年を迎えることになる。

(町田利衣 / Rie Machida)

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