「無理だったら終わり」…オリ“育成の星”が描く未来　覚悟の1年は「やってきた分岐点」

オリックス佐藤のテーマは「ラスト」

　惜しまぬ努力が、物語の続きを作っていく。オリックスの佐藤一磨投手が、高知秋季キャンプに参加し、懸命に汗を流している。この日はブルペン投球やランニングメニューを行い「（来季を）きっかけの1年に。またやってきた分岐点だと思います」と力を込めた。

　佐藤は2019年の育成ドラフト1位でオリックスに入団。同期入団のドラフト1位は宮城大弥投手で「次元が違いますよ……」と言いながらも背中を追ってきた。育成5年目の2024年6月8日に支配下選手登録されると、翌9日の巨人戦（東京ドーム）でプロ初登板初先発。5回無失点の投球で、プロ初勝利をマークした。

　今季の1軍登板は3試合。1勝1敗で防御率は6.75だった。プロ7年目を迎える来季は「ラストシーズン。無理だったら終わり……の気持ちです。変わったな、通用するな、と思ってもらえる年にしたいです」と胸中を吐露する。

　多くの分岐点を越えてきた。1度目は「プロ2年目に由宇遠征ですね。ベンチで中垣さん（当時の巡回ヘッドコーチ）に怒られた日です。自分の方向性が全く定まっていなくて、そこではっきり道が決まりました。そこが第1回目の分岐点ですね」と思い返す。

　2人目の“恩人”は「桑沢さん」であり「メンタルトレーナーの方なんですけど、その人がいなかったら、今の僕はないですね」と深く頷く。「ラスト、それが（今年の）テーマ。終わらないこと。毎年そんな生活ですけど、ダメだったら終わるって考えると踏ん張りが効くと思うので」。黙々と鍛錬を積む。

（真柴健 / Ken Mashiba）