山本由伸、CY賞は“絶望的” 「8.0-7.7-4.9」…ライバルとの差、対象外の無双投球

ドジャース・山本由伸【写真:荒川祐史】
ドジャース・山本由伸【写真:荒川祐史】

被打率はMLB1位、防御率リーグ2位も…立ちはだかるライバル

 全米野球記者協会(BBWAA)によるサイ・ヤング賞の投票結果が12日(日本時間13日)に発表される。日本人投手ではドジャース・山本由伸が最終候補入りを果たした。ポストシーズンで“英雄”となった右腕は、果たして日本人初の栄誉を勝ち取れるだろうか。

 山本はメジャー2年目の今季、開幕投手を務め、離脱することなくシーズンを完走した。特に最終盤の追い込みが凄まじく、8月31日(同9月1日)から3試合連続2桁奪三振、9月6日(同7日)のオリオールズ戦では9回2死までノーヒットノーランの快投。30試合に登板して12勝8敗、防御率2.49、201奪三振、WHIP0.99をマークした。4月と9月に月間最優秀投手を受賞している。

 タイトル獲得こそないが、被打率.183はメジャートップ。防御率リーグ2位、WHIP3位、奪三振率10.42も3位と投球内容の良さが際立った。そして山本のライバルになるのが、最優秀防御率に輝いたポール・スキーンズ投手(パイレーツ)、13勝&202イニングを投げたクリストファー・サンチェス投手(フィリーズ)の2人だ。

 まず、サイ・ヤング賞を占う上で大事になるのは「評価基準」と「投票時期」だ。日本プロ野球と異なり、メジャーリーグでは勝利数はあまり重要視されない。チームが弱いこともあって10勝10敗にとどまったスキーンズが最終候補入りしているのが好例だろう。また、BBWAA記者両リーグ各30人、計60人の投票はポストシーズンの前に締め切られている。山本はポストシーズンで快投に次ぐ快投を見せたが、残念ながら評価はされない。

「評価基準」において、特に重要視されているのが勝利貢献度WARだ。「ベースボール・リファレンス」と「ファングラフス」が算出するデータ(それぞれbWAR、fWARと呼ばれる)が主流だが、主に“結果”を重視するのが前者、“内容”に重きを置くのが後者となっている。直近4シーズンではbWAR1位の投手が計6人選ばれており、「ベースボール・リファレンス」を優先的に考える記者が多いかもしれない。

 では、3人の成績を比較してみよう。「bWAR」はサンチェスが8.0で投手MLB1位、次いでスキーンズが7.7で2位。山本が4.9で12位(リーグ8位)。「fWAR」はスキーンズが6.5でリーグ1位、0.1差でサンチェスが2位、山本が5.0で5位と明確な差が生まれている。もっとも、山本が2人を上回っている分野もある。被打率は堂々のメジャートップ、被長打率.283もメジャー唯一の2割台を記録している。

 とはいえ、WAR1以上の差をつけられていることから、山本はサイ・ヤング賞3位となる可能性が高いと思われる。スキーンズとサンチェスはかなり拮抗しているものの、選手会選出のナ・リーグ最優秀投手にスキーンズが選ばれたように、インパクトを含めると23歳右腕が優勢か。9日(同10日)にMLB公式サイトが予測したサイ・ヤング賞候補でも堂々のトップ。昨年の新人王に続き、デビューから圧倒的な数字を刻んでいる。

(Full-Count編集部)

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