井端監督の“秘蔵っ子”、22歳新星に専門家も驚き 脆さのはずが…会得した究極の技術

新井宏昌氏が解説、ロッテ・西川は「うまく打っていた」
ルーキーとは思えぬ堂々としたプレーだった。野球日本代表「侍ジャパン」は15日、「ラグザス 侍ジャパンシリーズ 2025 日本 vs 韓国」に11-4で快勝。プロ1年目で代表入りした西川史礁外野手(ロッテ)が「7番・左翼」で出場して2安打をマーク。「9番・一塁」で出場した佐々木泰内野手(広島)も適時打を放った。
現役時代に通算2038安打を放ち、引退後はオリックス、広島などで指導力を発揮した野球評論家・新井宏昌氏は「物怖じせずに凄く思い切りのいいスイングをしていた」と説明。「大きな試合に選ばれて伸び伸びとバットが振れているのが素晴らしい」と高く評価した。
日本代表の試合は、ベテランであっても簡単ではない。「新人だと緊張したり、力を出しにくい状況が多いんですけど、西川も佐々木もそんな様子はなかった」と分析。「特に西川は引きつけて逆方向にうまく打っていました」と解説した。
2回まで1人の走者も出せていなかった侍ジャパン。3回、先頭で打席に立った西川は、初球の152キロ直球を右前にはじき返した。チーム初安打でベンチを活気づけると、4回には再び初球を捉えて同点に追いつく右翼線2点二塁打。積極果敢な打撃でチームを勢いづかせた。
左足を大きく上げるフォーム「このままのスタイルで」
オープン戦では打率.410、OPS1.018を記録。ただ、他球団に研究された公式戦では開幕直後から苦しみ、打率1割台前半と低迷して2度の2軍落ちを経験した。そこで打撃スタイルの変更に着手。ミートポイントの位置を体に近づけ、ギリギリまで引きつけて球を見極めることで対応力が上がった。
6月中旬に1軍再昇格すると、6月は月間打率.441を記録。左翼のレギュラーに定着し、リーグトップの27二塁打を放つなど、大器の片りんを示した。シーズン最終戦で規定打席に到達。リーグ6位の打率.281をマークし、新人王の有力候補の1人となっている。
新井氏は西川の左足を大きく上げる打撃フォームにも言及。「あれだけ足を上げると、緩急をつけられた時にもろさが出る怖さがある。アウトのなり方にも紙一重な部分が出ます」と不安材料を挙げつつ「それでも高いアベレージを残せているのは、彼らしいタイミングの取り方をモノにしているからでしょう」と分析した。
「今後、研究された時にどうなるかですけど、今のスタイルで結果が出ているし、大きな大会でもこのままのスタイルでいってくれればいいかなと思います」。四死球を含めて4出塁で来年3月の第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のメンバー入りへ猛アピールした22歳。思い切りのいい打撃は魅力十分で、期待は高まる一方だ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)