侍Jで台頭した3人の“次世代スター” 専門家も称賛…WBCサプライズ選出の可能性は?

侍ジャパン・井端弘和監督【写真:小林靖】
侍ジャパン・井端弘和監督【写真:小林靖】

DeNAで遊撃レギュラー固めた石上は第1戦で3打席3四球2盗塁

 来年3月にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を控える野球日本代表「侍ジャパン」は15、16日に東京ドームで行われた「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本 vs 韓国」を1勝1分けで終えた。韓国との2試合で意外な顔ぶれが躍動した。いずれも追加招集という形で加わったDeNA・石上泰輝(いしかみ・たいき)内野手、広島・佐々木泰(たい)内野手、ロッテ・西川史礁(みしょう)外野手の3人だ。

「3人とも、まだまだこれからプレーヤーです。来年3月というよりは、NPBで実績を積んで、“その次のWBC”で主力として活躍してほしい選手です」。こう語るのは現役時代に通算2038安打を放ち、引退後もオリックス、広島などで名コーチとして鳴らした野球評論家・新井宏昌氏だ。

 左打ち内野手の石上は第1戦の4回、1死一、三塁の場面で一塁走者の代走に起用されると、早速二盗に成功。その後、3打席で3四球を選び、6回には2つ目の二盗も決めた。第2戦では「8番・二塁」でスタメンの座を勝ち取ると、4回1死満塁で押し出し四球をゲット。4-4の同点で迎えた5回2死満塁の好機では、一、二塁間を破る勝ち越し2点タイムリーを放ち、この試合で3打点をマークした。

「2点タイムリーは決していい当たりではありませんでしたが、初の侍ジャパン・トップチーム入りにも関わらず、力むでも縮こまるでもなく、冷静にボールを選んでいた姿が印象的でした」と新井氏は評価する。

 石上は2023年ドラフト4位で東洋大からDeNA入り。2年目の今季は開幕2軍スタートとなり、1軍に這い上がった後も右手小指の骨折に見舞われたが、それでも73試合出場で打率.241、2本塁打16打点3盗塁を記録。シーズン終盤には遊撃レギュラーの座をほぼ固めていた。

右打ちの“青学大コンビ”は「阪神・森下にならってほしい」

 右打ちの佐々木は、2試合ともスタメン一塁で出場。第1戦は5回無死満塁でボテボテの当たりが幸運な適時内野安打となり、4打数1安打2打点。第2戦も3点ビハインドの4回、反撃ののろしとなる中前適時打でチーム最初の得点を挙げ、1点ビハインドの5回2死満塁では同点の押し出し四球を選んだ。

 こちらは2024年ドラフト1位で青学大から広島入り。ルーキーイヤーの今季は故障で54試合出場にとどまるも、打率.271(0本塁打6打点)と実力の片りんを見せた。9月には4試合で4番を務めた。

 同じく右のスラッガーの西川は、第1戦に「7番・左翼」、第2戦には「5番・左翼」でスタメン出場し、計8打数3安打2打点2四死球。佐々木とは青学大時代のチームメートで、ドラフト1位でロッテ入り。1年目の今季からリーグ6位の打率.281、3本塁打37打点をマークし、新人王の有力候補となっている。

“青学大出身ドラ1コンビ”の佐々木と西川について、新井氏は「2人とも、しっかり自分のタイミングで相手投手の球を打ちに行っていました。四球を選んだ打席も“待球”の姿勢ではなく、打ちに行った上でボール球を見極めていました。なかなか新人が国際試合でやれることではありません」と称賛する。

 積極的に思い切りフルスイングする2人のスタイルは、同じ右打ちで既に侍ジャパンの常連となり、この日韓戦でも活躍した阪神・森下翔太外野手を彷彿させる。「青学大出身の2人は、中大出身で2学年上の森下を東都大学リーグで対戦しながら参考にしていたのではないでしょうか。森下にならって、今後NPBで実績を積んでいってほしいと思います」と新井氏は目を細める。

 3人は当初、10月8日に発表された日韓戦出場メンバーには名前がなかった。まず同27日に西川が追加招集され、11月3日にソフトバンク・牧原大成内野手ら3人が出場を辞退したタイミングで佐々木が加入。同5日、コンディション不良で出場を辞退した日本ハム・伊藤大海投手の代わりに、石上が呼ばれた経緯がある。

 メジャーリーガーや今回選出されなかったNPBの実力者が加わる来年のWBCでは、3人が選ばれるのはかなりハードルが高いと見られる。ただ、この日韓戦で日の丸を背負い結果を出した経験が“その後”に生きるのは間違いないはずだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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