巨人からトレードに「ワクワク」 新天地で直面した逃れられぬ数字…「嫌でも目に入った」

トライアウトに参加した西武・松原聖弥【写真:小林靖】
トライアウトに参加した西武・松原聖弥【写真:小林靖】

西武戦力外の松原が語るトレード

 西武から戦力外通告を受けた松原聖弥外野手は2024年に巨人から移籍して迎えた2年目の今シーズン、台頭する若手外野陣の前に思うような数字を残せず、苦しい時間が続いた。西武へのトレードは予想外だったが、新天地での活躍を誓った日のことは今も鮮明に覚えている。

 2016年育成5位で巨人に入団し、2018年7月に支配下登録をつかんだ。2021年には135試合に出場し一気に頭角を現したが、その後は外国人選手の加入などもあり出場機会が減少。2024年6月に若林楽人外野手とのトレードで西武へ移籍した。

「試合が終わって、夜に球団から電話があって『明日、球団事務所に来てくれ』と言われました。その時点で『トレードかな』と思いました。自分の中では全く考えていなかったので、驚きました。どこの球団に行くのかも分からないので『どこかな』と考えながら、翌日球団事務所に行きました」

 移籍は前向きに受け止めていた。チームが変わって活躍できるとは思っていなかったが、それでも必要とされて迎えられることは、何より嬉しかった。移籍先が「西武」と告げられた時は、胸が高鳴った。

「子どもの頃からライオンズが好きだったんです。『パ・リーグでどこが好き?』って聞かれたら迷わず『ライオンズ』って答えるくらいで。中島(宏之)さん、片岡(保幸)さんの二遊間に憧れがあって、華やかなイメージが強かった。だから『ライオンズ』と聞いた時はワクワクしました。

嫌でも目に入った“交換相手”の活躍「当時は悔しさも」

 西武へ加入して最初に感じたのはチームの若さだった。来年1月で31歳を迎えるが、巨人在籍時は年齢を意識する場面はほとんどなかった。

「ジャイアンツの時からライオンズは若い選手が多い印象はありましたけど、実際にチームに入ると『やっぱり若いな』と肌で感じました。同じ能力なら若い選手が使われるし、実際に若い選手が結果を出していた。焦りも大きかったですし、自分の力不足も痛感しました」

 トレード相手の若林は移籍後すぐにサヨナラ打を放つなど、新天地で存在感を示していた。その躍動する姿を意識してしまい、複雑な感情が広がっていた。

「活躍は嫌でも目に入ってきました。イースタンで対戦した時から、いい選手なのは分かっていましたし、怪我がなければもっとやると思っていました。今は『頑張っているな』と素直に思えるけど、当時は悔しさもありました。わざわざ成績をチェックはしないですけど、感じるものはありました」

 今年はわずか8試合の出場にとどまり、戦力外通告を受けた。予期せぬトレード、若手との競争、新天地での葛藤。決して平坦ではなかった2年間だったが、その経験は無駄ではなかったと前を向く。現役続行を決意し、11月12日に行われた合同トライアウトに参加。再びグラウンドに立つため、新たなステージへ歩み始めている。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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