西武加入…台湾の至宝は「全てが揃っている」 元NPB戦士が語った“強み”

台鋼ホークス・呉念庭【写真:篠崎有理枝】
台鋼ホークス・呉念庭【写真:篠崎有理枝】

元西武・呉念庭が語る2人の強打者

 昨年のプレミア12優勝から約1年、台湾野球がかつてない盛り上がりを見せている。そんな中、来年3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催される。チャイニーズ・タイペイ代表として今年2月に行われたWBC予選に出場し、今季は台湾プロ野球(CPBL)で首位打者を獲得した台鋼ホークスの呉念庭内野手が、台湾野球の進化とWBC代表の注目選手について語った。

 プレミア12での初優勝の栄冠をきっかけに、国内では野球人気が急上昇したという。「プレミア12で優勝してから、台湾全体が変わったと思います。野球ブームが起きて、野球を見る人が増えたし、少年野球などで野球をやる子どもが増えた。球団がファンサービスに力を入れてくれていることもありますが、野球ファンが増えたと思います」。これまでとは異なるスタジアムの熱気を、日々のプレーで強く感じ取っている。

 西武で8シーズンを過ごし、日本の野球文化を熟知する選手の一人だ。その経験を踏まえて、台湾球界の進化をこう語る。「レベルの高い外国人投手が来るようになって、野手の対応力も上がっている。それに各球団に日本人コーチが増えて、守備や走塁の意識がどんどん変わってきました。細かい野球が浸透してきましたね」。レベルは確実に上がっていると実感している。

 来年3月に開催されるWBCで野球日本代表「侍ジャパン」の初戦の相手。注目選手として2人の名前を挙げた。1人目は、これまでに首位打者を3度獲得し、2021年は盗塁王、22年には首位打者、最多安打、打点王を獲得してMVPに輝いた“台湾の山田哲人”こと楽天モンキーズの林立(リン・リー)内野手だ。もう1人は、今季自身と首位打者争いを繰り広げ、統一ライオンズから西武に加入した左の強打者、林安可(リン・アンクウ)外野手だ。

「林立選手は、台湾リーグで一番いい打者だと思っています。打率が高くて盗塁もできる。打者として全てが揃っています。昔からすごいと思って見ていましたが、今はさらに安定しています。林安可選手はパワーがあって、選球眼もいい。四球が取れるタイプで、台湾だけでなく海外でも通用すると思います」

 野球人気の高まりとともに、選手たちの技術レベルも確実に向上している台湾。プレミア12王者として挑むWBCの舞台。日本にとっても手強い相手となりそうだ。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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