長野久義が貫いた“らしさ” 笑顔、笑い、そして涙…愛され続けたチョーさんとの最後

巨人ファン感謝イベントで長野久義引退セレモニー
チョーさんらしさが随所に表れていた。巨人のファン感謝イベント「ジャイアンツ・ファンフェスタ2025」が23日、東京ドームで開催され、今季限りで現役を引退した巨人・長野久義外野手の引退セレモニーが行われた。
巨人と広島でプロ通算16年間プレー。数々の栄光の歴史が、中堅後方のビジョンで流された。収録されたVTRの時間は背番号に合わせて7分。続いて元巨人監督の高橋由伸氏と原辰徳氏、広島時代の同僚だった鈴木誠也外野手(カブス)から寄せられたメッセージ動画が流れた。
そしてファンに別れのあいさつ。湿っぽさを嫌う長野の希望で、明るい雰囲気のヒーローインタビュー形式で行われた。用意されたのはお立ち台。スタッフが位置を調整しようとすると、自らかがんで手伝う姿が――。常に周囲に気を配る長野らしさが表れていた。
目の前に広がったのは大勢のファンの姿。「最高です!」と声を上げ、メッセージ動画には「忙しい中、素晴らしいメッセージを頂き、大変うれしく思います」と感謝した。
自身のVTRを振り返りつつプロ生活を問われると「格好いい時期があったんだなと思って、自分でも見惚れてました」とおどける場面も。入団1年目に当時は現役選手だった阿部慎之助監督から「大学、社会人で経験しているから、今までのプレーをしっかりやれ」と言われたことで「いい結果につながった」とコメントした。
次の夢は「来年、阿部ジャイアンツが日本一になること」
サヨナラ勝利のシーンでは歓喜の輪にいち早く飛び込むことが多く「サヨナラが決まった瞬間はベンチを一番に出るというポリシーがあった。僕より先に出た選手がいたら手で制して先に行かせないようにしていました」と軽快にトーク。「プレーで目立てなかった分、そこで目立とうと思っていました」と話して笑いを誘った。
最後に次の夢を問われると「来年、阿部ジャイアンツが日本一になることが僕の夢です」と力説。「監督、よろしくお願いします!」と声を張り上げて、インタビューを締めくくった。終始、笑顔のあいさつ。ただ、阿部監督や坂本勇人内野手からの花束贈呈では、阿部監督や坂本の涙を見て思わず感極まった表情を浮かべた。
セレモニーの最後は長野コール、打席での応援歌を浴びながら場内を一周。ナインが胴上げの準備で構えていると、今オフにポスティングシステムでメジャー挑戦する岡本を先に胴上げさせた。岡本に続き、背番号と同じ7度宙を舞った長野。「RESPECT」を軸にした記念ロゴにも「T」の部分に「7」があしらわれるなど、チームも最大限のリスペクトを示した“7尽くし”のセレモニーとなった。
球場のあちこちから飛び交った「チョーさん、ありがとう!」の声。主役がベンチ裏に消えた後も、長野コールと応援歌が右翼席から鳴り響いた。来年3月、東京ドームでのオープン戦で引退試合が行われることが場内でアナウンスされると、どよめきとともに大きな拍手。チームメートと多くのファンに愛された男は、盛大に第二の人生に送り出された。
(尾辻剛 / Go Otsuji)