巨人・門脇が奮闘「きっかけを作りたい」 夢プロジェクトを続ける理由「プロのあるべき姿」

夢プロジェクトを開催した巨人・門脇誠【写真:尾辻剛】
夢プロジェクトを開催した巨人・門脇誠【写真:尾辻剛】

巨人・門脇、知的障がいのある選手22人と交流イベント

 子どもたちのためにも、自分を高めるためにも続けていきたい――。巨人・門脇誠内野手が24日、東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで行われた「門脇×甲子園夢プロジェクト」に参加。昨年に続く2度目のイベントで、創価大時代を含めると自身4度目の夢プロジェクトとなった。

 全国の特別支援学校に通う知的障がいのある中高生らが硬式野球に取り組むプロジェクト。この日の練習会には社会人を含む22人が参加し、門脇に加えて矢野謙次2軍打撃チーフコーチらが守備や打撃などの指導を行った。

 ティー打撃で柵越えを披露し、内野ノックでは実技も披露した門脇。内野ノックの際には、遊ゴロの際に二塁手役で併殺プレーに加わるなど、一緒になって野球を楽しんだ。

「自分が教えるというよりは一緒に交じって野球をやる方がいい。そもそも自分は教えるのが得意ではない。教えるのも自分の勉強にもなるんですけど、自分が小さい時に教えられた技術的なことは、あんまり印象に残ってないんです。それよりプロのプレーを生で見て、衝撃を受けてマネして、自分もプロになった。同じ空間で野球をして楽しむのが一番いい。同じ空気を吸えたら、それで十分だと思います」

 紅白戦では両軍の投手を務めるなど精力的に動き「毎年毎年、みんながうまくなっているなというのを感じる」と手応えを口にする。門脇から安打を放った選手からは「今までで最高の日になりました!」「帰ったら会社で自慢します」などの声が上がった。

 創価大時代から取り組みを続け「その都度、野球を何のためにやるのかというのを再認識できる、貴重な時間だと毎年思っています」という。知的障がい者を取り巻く環境は厳しいが「どんな人でも野球はできるんだということを、こういうプロジェクトで考えさせられる。もっと広げていきたいと思う」と前を向く。

「こういう場で貢献するのがプロ野球選手のあるべき姿」

「プロ野球選手である以上、自分が野球をするだけじゃなく、こういう場で貢献するのがプロ野球選手のあるべき姿だと思っている」。自分を磨き、理想の選手像に近づくために活動を続ける。

 現在は手首に巻くシリコンバンドを自主製作中。グラブと同じ水色で「初志貫徹」の文字を入れることも検討しており、完成次第、プロジェクトに参加している選手にプレゼントすることを予定している。

「自分が着けてプレーしているところをテレビで見てもらって『ああいう時もあったな』と一緒に練習した思い出を振り返ってほしい。自分もそれ(シリコンバンド)を見て、自分のためだけじゃなく、その人のためにも頑張らないといけないんだというのを再認識したい。子どもたちとずっとつながっていたいなと思いました」

 3年目の今季は怪我での離脱もあってレギュラーの座を手放し、プロ最少の81試合出場にとどまった。「単純に実力不足」と反省しつつ「試合に出ないと意味がない。子どもたちに恥ずかしいところは見せられない」と巻き返しを誓う。

「プロ野球選手って子どもたちにとっては大きい存在。この子たちのためにも活躍して『凄いな』と思ってもらえるような選手になりたいと毎年、思い続けている。自分の影響で、何か目標ができてくれれば、自分もやりがいがあります。少しでもその子たちの人生がいい方向に行くきっかけを作りたいなと思います」

 来年以降もプロジェクトの継続を宣言した24歳。知的障がいのある人たちを少しでも元気づける。それが門脇のパワーの源の1つだ。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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