コーチから厳しい言葉「何で生きていくんだ」 オリ片山が中嶋前監督から得た気付き

1年目の今季は21試合で防御率2.10
オリックスの片山楽生投手が、長いイニングを投げるためスタミナ強化をオフの課題として取り組んでいる。「(長いイニングになると)数字的にも球的にも落ちちゃうと感じる部分があったので、もっとスタミナをつけていかなくちゃいけないと思っています」。足元を見詰め来季への思いを語った。
北海道帯広市に隣接する音更町出身で白樺学園高、NTT東日本から2024年ドラフト6位で入団した。1年目の今季は1軍で中継ぎを中心に21試合に登板、1勝0敗1セーブ、防御率2.10。社会人時代からストレートにカーブ、カットボール、ツーシーム、チェンジアップ、フォークの変化球を交える緩急の差で打たせて取る投球を身上としてきた右腕。多彩な変化球に自信はあったが、プロ入りしてから痛感したのが「一級品のボールがない」ことだった。
「何を投げてもストライクを取ることはできるのですが、岩嵜(翔)さんのストレートや山岡(泰輔)さんのスライダーのような、圧倒的なボールがないんです」。指導者から「お前の特徴は何なんだ」「何で生きていくんだ」という厳しい指摘も受け、2軍での調整期間中にツーシームやチェンジアップを磨いて安定感を増した。
再昇格後の8月以降は、僅差の負け試合など重要な場面での起用も増えた。Aクラス入りがかかったシーズン終盤には、ブルペン陣の「スーパー・ドリームチーム」(厚澤和幸投手コーチ)の一員として期待を集めた。
1年を怪我なく終え、中継ぎとしてある程度の存在感を示した今、課題として挙げるのがスタミナ不足。「しっかりとコンディションを整えて投げるといい結果が出たのですが、連戦で疲れが溜まったりすると簡単にフォームが崩れたりしてしまって。いい体の使い方ができないとフォームにブレが出て、ボールにも影響してしまいました」と振り返る。
今季の最長登板は3イニングが1度だけだった。再現性を高め、長いイニングを任されるようになるためにも、体力面の強化が必要になるというわけだ。

中嶋前監督から直接指導で得た“気付き”
また、変化球を生かすためにもストレートの強さにもこだわる。「直球で勝負することができた時もあったんです。その強さなら空振りもファウルも取れたのですが、継続するのがすごく難しかった。ストレートを投げるのが怖くなるというか、コントロール重視でかわしていくというピッチングになりがちでした」と明かす。「今季のいい状態を最低ラインにすることができれば、もっと安定すると思うのでそこを求めていきたい」と意気込む。
高知市での秋季キャンプでは、力強い“援軍”も現れた。視察に訪れた中島聡前監督から、直接指導を受けた。「厚澤コーチから『中嶋さんがフォームについて話したいことがあると言っている』と聞いて、お願いしました。僕は左肩を引いちゃう癖があって、そこを開かないように指導していただきました。わかってはいたのですが、シーズン中は大きく手を入れられなくて」と片山。前日のブルペンで片山のフォームを見ていた中嶋前監督からは、気付かなかった左肘の使い方のアドバイスも受けた。「翌日、ブルペンで試したら、縦のラインがすっと出るようになりました」と感謝する。
「出力70%、50球」という“指示”のあった秋季キャンプで1クールに1度は8割以上で約100球の投げ込みをしたのも、フォームの再現性を高めてすべてのボールを生かすため。「長いイニングを投げることで、チームの勝利に貢献できます。来季も任されたポジションで投げさせていただきますが、そのためにも先発ができるような取り組みをしたいと思っています」。2年目の飛躍を誓う。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)