内藤鵬が誓った1軍での恩返し 被災から立ち上がる“第2の故郷”…重ねた自らの姿

オリックス・内藤鵬【写真:北野正樹】
オリックス・内藤鵬【写真:北野正樹】

高校時代は日本航空高校石川で寮生活

 オリックスの3年目、内藤鵬内野手が12月、高校時代を過ごし「第2の故郷」と呼ぶ石川県輪島市を、能登半島地震後に初めて訪問し、野球教室に参加する。

「被災後、初めてなんです。被災した母校の状況や親切にしてもらった朝市のおばちゃんたちがどうしているのかも気になります」。内藤が2年ぶりに訪れる輪島に思いをはせた。

 内藤は、名古屋市出身。日本航空高校石川から2022年ドラフトでオリックスに入団した。高校時代は寮で生活し、休日には約1200年続き日本三大朝市と呼ばれる「輪島朝市」を散策するのが楽しみだった。しかし、2024年1月1日に震度7を記録した能登半島地震で母校の校舎やグラウンドは大きな被害を受け、朝市のあった本町商店街一帯は焼失してしまった。

「朝市では、顔見知りになったおばちゃんから『鵬君、これ食べて』と海産物をもらったりしていたので、今でもみなさんが無事だったのか、すごく気になっているんです」。オレンジ色のテントが並び、ピーク時には年間200万人の観光客が訪れたという朝市通り。焼失した地域は今後、市による区画整理事業で再建される見込みだ。着工は早くても来年春以降といい、現在は約40店舗がワイプラザ輪島店内で出店し復興に備えている状態となっている。

 内藤は、右の大砲候補として注目を集めたが、1、2年目に大きなけがを負い手術を余儀なくされた。3年目の今季は小さなけがはあったものの、2軍で112試合に出場。3本塁打、打率.227。1度も1軍に昇格することなくシーズンを終えたが、みやざきフェニックスリーグでは、57打数18安打、11打点、2本塁打、打率.316と来季につながる結果は残せた。

 母校で開かれる野球教室は12月13日。「14日も大阪でイベントがあるので、タイミングが合えば1日早く行って輪島の街を見てきたいと思っています」と内藤。困難から立ち上がろうとしている輪島の方々に、来季は1軍で活躍する自らの姿を重ね、飛躍を誓うつもりだ。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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