若月健矢、GG賞&ベストナインも「ゼロからもう1回」 明かした課題「精度が悪かった」

若月が振り返った2025年「濃い1年でした」
「第54回 三井ゴールデン・グラブ賞」とベストナインをダブル受賞したオリックスの若月健矢捕手が、来季、ゼロからのスタートを誓った。「侍ジャパンにも行って、いろんなことを経験させてもらった濃い1年でした。まだ30歳ですので、まだまだレベルアップしなければいけないと感じました。(来季は)ゼロからもう1回、しっかりとやりたいと思っています」と、球団施設の舞洲で決意を語った。
若月は、花咲徳栄高(埼玉)から2013年ドラフト3位でオリックスに入団。6年目の2019年にリーグトップの盗塁阻止率(.371)を記録するなど、正捕手として地歩を固めてきた。12年目の今季は、121試合に出場し規定打席に43打席足りなかったものの、打率.272をマークし、“打てる捕手”としてAクラス入りを支えた。
ゴールデン・グラブ賞は、2023年以来2度目の受賞。初受賞はチームが3連覇した年だったため「優勝したから(記者投票で)獲らせてもらったというのもあったと思います」と謙虚に受け止めた。チームの成績に関係なく選出してもらって初めて評価につながるとの思いから、一喜一憂せず技術を磨くことに専念した結果が、今年のダブル受賞につながった。
「でも、成績はよくなかったので」と、若月の表情は晴れない。キャッチングやブロッキングには自信があるが、盗塁阻止率がリーグ5位(.219)に終わったことが胸を張れない理由のようだ。盗塁阻止は投手との“共同作業”。捕手のせいばかりではないが、「精度が悪かったですね」と反省する。リセットをしてゼロからやり直すという言葉には、スローイングを含めて一から見直すという思いが込められている。
オフの自主トレでは成長の機会が訪れた。台湾・味全ドラゴンズの蒋少宏捕手と舞洲で練習した際、2塁送球に目を奪われた。「すごくスローイングがよくて。ソフトボールを使って投げる練習をしたのですが、ボールを離すリリースの感覚を教えてもらいました」と明かした。
蒋からはショートバウンドした球を捕球するコツや練習方法を聞かれたそうで、「僕が一方的に教えたんじゃなくて、お互いに足りないものを補い合った感じです。すごく楽しかったですね。学びしかありません」と振り返る。台湾のゴールデン・グラブ賞を2度受賞した蒋との2日間は、若月にとって成長につながる貴重な時間になったようだ。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)