周囲は期待も「気にしてない」 中村剛也が明かした大偉業への“本音”「面倒臭くなってきた」

西武・中村剛也【写真:小林靖】
西武・中村剛也【写真:小林靖】

今季代打で15打数3安打7四球「アジャストできなかった」

“おかわり君”の来季の起用法は……。NPB現役最多、歴代10位の通算481本塁打、本塁打王6回の実績を誇る西武・中村剛也内野手は4日、埼玉県所沢市の球団事務所で契約を更改。今季は打撃の調子が上がらず、1軍では44試合出場、打率.240(96打数23安打)、3本塁打10打点に終わったとあって、減額制限ギリギリの25%ダウンにあたる2500万円減、来季年俸7500万円でサインした(金額は推定)。

 契約更改後の会見では、相変わらずの“おかわり節”が炸裂した。報道陣の質問に穏やかな笑顔を浮かべつつも、煙に巻く。2001年ドラフト同期で、同い年の42歳・栗山巧外野手が来季限りでの現役引退を表明したことに対し感慨を聞かれても、「別にないですよ。他人(ひと)は他人(ひと)なので。1日1日を生きていきたいと思います」と淡々。

「(栗山と)さっき話しました」と口にし、報道陣の目の色が変わったのを見ると、「すみません、嘘です。会ってないですよ」といたずらっぽく笑った。

 今季の中村剛は、4月27日のオリックス戦で同点の9回に左中間へ代打サヨナラ二塁打を放つなど、さすがの勝負強さを見せたシーンもあったが、7月7日に出場選手登録を抹消され以降、シーズン終了まで1軍に戻ってくることはなかった。「シーズンの初めはまあまあ、うまいこといっていたのですが、交流戦に入ったくらいから代打が多くなり、そこにアジャストできなかったというのはあります」と振り返る。

 今季代打では22打席起用された。7四球を選び、出塁率.455をマークしたのは優れた選球眼と相手に与える重圧の大きさを物語るが、打率は.200(15打数3安打1本塁打4打点)にとどまった。

 2024年の代打成績は7打数無安打(4四死球)。長年レギュラーを張り、1試合4~5打席かけて相手バッテリーの配球の傾向などを探りながらトータルで勝負してきた一流選手が、ベテランとなってから代打の“1打席勝負”で結果を求められ、戸惑いを隠せないというのは、よくあるケースではある。

契約更改交渉を終え会見した西武・中村剛也【写真:宮脇広久】
契約更改交渉を終え会見した西武・中村剛也【写真:宮脇広久】

広池球団本部長が代弁「代打で終わるつもりはないと思います」

 8月15日に43歳となる来季は、“代打の神様”になるべく舵を切るのか、それともレギュラーとしてのスタメン出場にこだわるのか。中村剛は「まあ……どうなんですかね……(西口文也)監督に聞いておきます」と首を捻り、「(聞いてみないと)わからないじゃないですか。電話しときます」と報道陣を笑わせた。

 来季節目の25年目を迎える中村剛のプロ人生の行方も、起用法によって大きく変わってきそうだ。広池浩司球団本部長は「(契約更改交渉の場では)そういう話はしていませんが、当然、本人に代打で終わるつもりはないと思います。4打席、5打席立つことを考えているでしょう」と“代弁”する。「来年25年目ですよね。体がすごく大事になってくる。しっかり整えて春を迎えてほしいだけです。元気であれば、今年も素晴らしい活躍がありましたし、期待しています」とエールを送った。

 NPB史上、過去8人しかいない通算500本塁打まで、あと19本。広池本部長は「ぜひ達成してほしいですけれど、中村とはいえ、出場機会は競争で勝ち取って得るものだと思っています」と強調する。

 そんな球団首脳の言葉を知ってか知らずか、中村剛本人は通算500本塁打について「打ちたいですけど……まあ、それくらいですかね。そこまで気にしていないというか、面倒臭くなってきたっす。(メディアから)そうやって聞かれるんで」と、またもや煙に巻いた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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